2020/09/06

最近観た映画メモ「炎のランナー」他

ようやく80年代映画に突入! 70年代映画みたいに大量に追加さえしなければ、今年中に「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ 落穂拾い編」+「新しめの話題作リスト」を完了できそう! その後は「なぜか観てなかったアニメやドラマシリーズ」的なものをスタートする予定。

80年代作品で落穂拾いリストにあるのは約30本。70年代はちゃんと数えてないけど百数十本はあるはず。70年代後半は特に多い。理由はわかりきってる。ロードショー誌とか読んでた頃で、「これ観てみたい!」と思ったり、タイトルは知ってるけど観てない映画が多いから。映画館へはそう頻繁に行けなかったし。

その後は映画雑誌は読まなくなり、一般にヒットしたり話題になったものくらいしか知らない。80年代のデザイン学校〜デザイン事務所時代はオールナイトなど映画館に行く機会が多かったので、話題作はたいてい観たし「なぜか観てない」ってくくりの未見映画は少ない。

1990年〜2010年はひどい。フリーになってからの20年間は映画どころじゃなかったから、「なぜか観てなかった」になりようがなく、「落穂拾いリスト」でも17本しかない。

普通の人々(1980年)
歌え!ロレッタ愛のために(1980年)
フライングハイ(1980年)
炎のランナー(1981年)

●普通の人々(1980年)

ロバート・レッドフォードが初監督作品でアカデミー作品賞、監督賞! は知ってたけど、映画の存在自体すっかり忘れてた。ドナルド・サザーランド、メアリー・タイラー・ムーア(僕的には「モダン・ミリー」の!)、ティモシー・ハットン。

一見、平穏に暮らしているように見える弁護士の家族。しかし長男がヨット事故で死亡、助かった次男も自殺未遂で精神病院に入院。退院したものの精神的に不安定。勧められてカウンセラーの医師のところに通い始める。溺愛していた長男を亡くした母親も相当おかしくなりつつある。心労が重なる父親はついに行動を起こす。という話。

こんな心を揺さぶられる映画はそうそう無い。キツい。ズキズキした。家族が崩壊していく話。というか、すでに壊れてたのだが、本心を偽って「普通の人の生活」を演じてた彼ら。じっくりと地に足のついた描写が続くのだが、そのせいかかなり怖い。高校生である次男の超絶不安定な心は、手に取るように共感させられちゃってヤバいし、母親の冷たいリアクションや行動なんかほとんどホラー。

ドナルド・サザーランドがめずらしく終始まともでいい人w のらりくらりと逃げる次男を有無を言わせず追い込み、心のフタを開くカウンセラー医師のジャド・ハーシュがめちゃくちゃ良い。

●歌え!ロレッタ愛のために(1980年)

カントリーの大歌手、ロレッタ・リンの自伝を元にした映画。マイケル・アプテッド監督、シシー・スペイセク、トミー・リー・ジョーンズ。

貧しく子沢山の炭鉱夫の娘が、帰還兵のドゥーと出会って14歳で結婚。4人の子供を育てる中、歌が上手いからとドゥーにプレゼントされたギターで曲を作り始める。ドゥーはロレッタの才能に気づき、レコーディングしてラジオ局に売り込みの旅。とんとん拍子にカントリー歌手の頂点へ上り詰めるが、、、という話。まあ、現実にはもっと入り組んでるんだろうけど、いい感じに単純化。(早すぎる人生とか劇中でも言ってるけど、29歳で孫が生まれたそうw)

スペイセク、この時31歳だけど、14歳を演じてもぜんぜん違和感なしで、「キャリー」以上w 劇中の歌は全部スペイセクが歌っててちゃんと上手いのがスゴイ。ちょっとハスキーボイスで同じく子供顔のビョークを思わせる。これでアカデミー主演女優賞もらってる。

「下積みがないのが引け目」と自分で言うくらい、いきなり売れた歌手の伝記映画なので、盛り上がりはそれほどないんだけど、ロレッタを取り巻く両親兄弟や夫や子供や友人の歌手や貧乏から金持ちへの環境変化など、どんどん移り変わっていくのが見もの。

トミー・リー・ジョーンズ、まつ毛が長くて若い! ひどいヤツな面もあるけど、見放されずによかったね。ほほえましい夫婦w

どこも退屈せず、楽しめた。かなり好き。っていうか、田舎の明るい少女をいきいきと演じるかわいらしいスペイセクと、ジョーンズの不器用な優しさやオロオロする演技見てるだけで2時間ぜんぜんもつ! ロレッタ以外にも出てくるカントリーの曲も聞かせる。

いっしょにツアーするパッツィー・クラインって歌手、貫禄ある先輩歌手のように描かれてるけど、調べたらロレッタと同い年!

●フライングハイ(1980年)

別れたスチュワーデスの彼女を追って旅客機に乗り込んだ飛行機恐怖症で元空軍パイロットの男を中心に、機内のあっちこっちの人々のドタバタや回想のあれこれ、トラブル発生によるパニックを描くコメディ。「ケンタッキー・フライド・ムービー」の脚本家たちが自分らで監督して大ヒット。レスリー・ニールセンやピーター・グレイブスも出てる。

原題は「Airplane!(飛行機!)」なのねww 基本的には70年代パニック映画のパロディ。音楽が大げさでイイ、と思ったら、エルマー・バーンスタインw

なぜか一度も観たことなかった。テレビでいつもやってたコメディ映画って、いつでも観れそうな気がして意外と観てなかったものが多い。「ポリスアカデミー」とか「ナイトミュージアム」とか。「ホーム・アローン」は6年前にようやく観た。

面白かった。無数の小ネタ、このバカバカしさがいつまでも続いててほしい感じw 声出して笑ってしまったところも多い。砂浜での抱擁シーンとかw ミュージカルスターのエセル・マーマン本人が出るシーンなんか、スタッフの本気具合がわかってオカシイ。ジェット旅客機の音がレシプロエンジンの爆撃機の音なのは?w わからなくて見過ごしてるネタも多そう。

検索したら、70年代航空パニック映画のルーツのひとつの「Zero Hour!」(1957年)という映画を下敷きにしてパロディ化したらしい。主人公の来歴、操縦士のスポーツ選手ネタ、食中毒による操縦士不在、初めての旅客機操縦までそのままらしい。
https://en.wikipedia.org/wiki/Zero_Hour!
https://note.com/hitkawa/n/n46e0f3e70956

●炎のランナー(1981年)

第一次大戦直後のイギリス。ユダヤ人のエイブラムスは世界を見返すためにケンブリッジ大学に入り、走る。プロのコーチを雇って批判されもする。スコットランド人の牧師の息子で宣教師、信仰の表現として走るリデル。生粋のイギリス人ではない二人だが、ともにイギリス代表として1924年パリ五輪に出場することになる……という話。まだ素朴だった8回目の近代オリンピックも克明に描写されてて興味深い。

ヴァンゲリス音楽。ヒュー・ハドソン監督。ベン・クロス、イアン・チャールソン、先日亡くなったイアン・ホルム。「ヤング・ゼネレーション」のデニス・クリストファーがアメリカ選手役でちょっと出てる。

よかった! 走りたくなるよw まあ元気が出る映画。重厚で格調高い画面。国や誇り、民族と信仰。若者たちの顔が見分けつきにくくて中盤までかなり混乱したがw

ヴァンゲリス音楽はほとんどの場面で最高! 冒頭の海岸を走るシーンのテーマ曲は鳥肌もの。シンセの電子音が画面から浮いちゃうところもあったりするけどね。そういえば、ヴァンゲリスって「ランナー」だな。「ブレードランナー」も。ただし、「炎のランナー」の原題は「Chariots of Fire(炎の戦闘馬車)」

ヴァンゲリス以外にも教会音楽や合唱、オペレッタ「ミカド」など、いろんな音楽が出てきて、どれもイイ。

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