2023/09/09

最近観た映画メモ「エスター ファーストキル」他



怖くて途中で止めたまま続きを見れずにいた「エスター ファーストキル」を一ヶ月ぶりに見終わったw

何度も書いてるけど、あらゆる映画の、手に汗握ったりサスペンスの定番要素、「バレるかバレないか潜入もの」や「間違った選択を繰り返して結果的に過酷な状況に自ら突っ込んでいくように見える主人公」とか嫌すぎて、たびたび一時停止してぜんぜん進まない件。

なんちゅうか、「楽しもうと思って映画見てるのに、なんでこんな不快な思いをしなくちゃいけないんだ?」って思いが強くなり、「もしかして僕、映画は苦手なのかもしれない」って毎度思ってしまう。

とはいえ、見終わってからいろいろ検索したりして背後の関係性を見つけたり感想メモを書いたりするのは楽しいんだけど。上映時間より調べたり書いてる時間のほうが長かったりする。

●エスター ファーストキル(2023年) 1:38 Amazonプライム

13年前の前作「エスター」(2009年)で少しだけ語られたエスターの過去が描かれる。ウィリアム・ブレント・ベル監督。

大人になってしまったイザベル・ファーマンが10歳くらいで演じたエスターをどうやって演じるのか不安だった。しかし、冒頭で「前作を見た人は当然知ってること」を強調することで、むしろ今作のほうが正しい描写かも!と納得させてくれる。上手いなあ! ぜんぜん違和感なかった。

予算があればデ・ニーロやハリソン・フォードみたいにAIやデジタルで若返らせるのは可能だろうけど、面白みは減る。この映画ではこれが正解。続編は年齢的にイザベル・ファーマン抜きで計画されてたのだが、「私は今でもエスターを演じられる」と売り込んだのだそう。

めちゃくちゃこわい。保身のためなら殺人などまったく平気なサイコパスが、善意の人たちの中に放たれる。おまけに「正体がバレるかバレないか潜入もの」でもある。いつものように、こわすぎてストップしてる時間のほうが長いw 中盤でストップしたまま何週間も続きを見れずにいたのだが……。

見るのを再開した直後、話は思わぬ方向へ。えええ!そういう話だったのか! 過剰な描写に思わず笑ってしまうw

最近観た映画ではダントツに面白かった。もっと観たい!「エスターが来るぞ〜!」的ホラーアイコンとしてシリーズ化希望。

・イザベル・ファーマン、3年ほど前に見たスティーブン・キング原作の「セル」(2016年)に出番が多い脇役で出てたのね。当時19歳ですでに大人の顔になってる。

●シャドウ・イン・クラウド(2021年) 1:23 U-NEXT

クロエ・モレッツ主演。ロザンヌ・リャン監督。アメリカ・ニュージーランド合作。

太平洋戦争下のニュージーランドからサモアへ向かうB-17爆撃機。機密指令を受けて急遽乗り組んできた女性士官。下品な男たちには怪しまれ、機密の入ったバッグは取り上げられた上、彼女は機体下部の球形銃座に押し込められる。日本軍の戦闘機も来襲。そんな時、翼に不気味な怪物が現れる……という話。

第二次大戦中の飛行機乗りたちの間で噂されていた「空の魔物 グレムリン」。ダン・オバノンが「グレムリンがB-17爆撃機のクルーを次々襲う」という話を温めていて、「エイリアン」(1979年)の原案となった。それがこの映画の元になったのかと思ったら、どうやら無関係らしい。

女性の強さについての映画なんだろうな。男たちの社会的圧力と戦い、誰よりも強くなっていく女性の話。グレムリンは抑圧や不安の象徴らしい。シンプルな映画なのに話の軸が何度も変わってちょっと混乱するけど、面白かった。そりゃ無理だろ!ってシーンもサラッと通り過ぎたい。娯楽映画なんだからw

空の魔物グレムリンを直接描いた映画としては「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983年)の一編「2万フィートの戦慄」、ジョン・リスゴーのアレ。別のエピソードの監督で関わったジョン・ランディスの息子マックス・ランディスが本作の脚本を書いてる。ただ、マックス・ランディスは女性への暴行その他で降板させられており、女性であるロザンヌ・リャン監督がリライトした結果、こういうテーマの映画になったらしい。

・1時間23分、とても短い。エンドクレジット等を除く本編ドラマ部分は1時間10分ほどしかなく、めちゃくちゃ濃い。退屈してるヒマなどない。

・肝心な部分のネタバレを読んでしまってたのは不覚。知らなかったら大感動したはず。知らずに見る人がうらやましい。

・ラストでちょっと開けた場所がある以外、全編ほとんど狭い狭い密室劇。乗員からの視点だからか、飛ぶB-17の姿さえ映らない。CGもイマイチ。とても低予算なんだろうな。

・クロエ・モレッツ超熱演。回転銃座で敵機を迎撃するモレッツの絶叫、スゴイ! カッコイイ!

・ずっと飛行中のB-17の中の出来事なのに、飛行機に乗ってる感がほとんど感じられないのがとても残念。振動も風もない。風はちょっと吹き込むけど寒く見えないし。B-17映画ってずいぶんたくさん見たけど、あのおなじみのエンジン音がずっと響いていさえすれば少しはマシだったのだが。

↑ やかましいエンジン音がず〜〜っと鳴り響いてて、機内連絡用のヘッドセットを使わなければ普通の会話もむずかしいほど。っていう描写を入れておけば、あの「大ネタ」も無理があるように見えなかったのに。

・余談。「トワイライト・ゾーン」のオリジナル(1963年)ではウィリアム・シャトナーがグレムリンに怯える男の役。そのグレムリン、ふわふわの着ぐるみ白ゴリラって感じがおかしいw たぶん、マジに怖いクリーチャーとしてではなく、(それ自体が可笑しい)飛行機恐怖症の男が思い浮かべた怪物のイメージ?

●セブン・サイコパス(2012年) 1:50 イギリス U-NEXT

「セブン・サイコパス」というタイトルだけ決まってる映画脚本を執筆中の男。行き詰まってるのを見て友人の売れない俳優が勝手に「イカレたサイコパス募集」の広告を出す。その俳優は初老のポーランド人と組んで懸賞金狙いの犬泥棒をやってるのだが、偶然マフィアのボスの愛犬のシーズーを盗んでしまい……という話。

すごかった「スリー・ビルボード」(2017年)、(未見の)「イニシェリン島の精霊」(2022年)のマーティン・マクドナー監督。コリン・ファレル主演、サム・ロックウェル、クリストファー・ウォーケン、ウディ・ハレルソンっていつもセットで出てるような気が。他にトム・ウェイツなど。

脚本のアイディアや想像したことなどが映像化されて現実や記憶と重なったり混じったり、幻想的。現実というか人生を映画的に改変もするし。ラストは寓話的になんとなく納得させられけど、正しく理解できたかわからない。

かわいい犬たちのおかげもあってほのぼのコメディにも見えるけど、行われてることは度を越したエグさ、胸糞悪い。サイコパス映画だからね……コリン・ファレルの八の字眉毛に救われる。

キャスト全員いい味出してて、各シーンそれぞれ単独でも見れてしまうほど。特にいくつもある緊張感漂う対話シーン、何度も見ちゃう。いつものようにサム・ロックウェルって神経に障る感じでイライラするw クリストファー・ウォーケンはなんか安心するし。ウディ・ハレルソンは凶暴なのにどこかかわいいし。ベトナム人もめちゃくちゃ良い。

若く尖った監督の「これ、やってみたかったんだ!」が満載の瑞々しさがある。タランティーノ的なニュアンスがあちこちにあったり、大好きだという北野武の「その男、凶暴につき」(1989年)がちらっと映ったり、「ノーカントリー」(2007年)的でもあったり。

・アレって、もしかして「エスター」(2009年)の影響??

・ビートたけし/北野武監督の映画ってほとんど配信されてないのね……。

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