2023/07/02

最近観た映画メモ「シン・ウルトラマン」他



ほぼ1ヶ月前に観た3本。どれも2022年作品。この後、ぜんぜん映画観れてない。

●フェイブルマンズ(2022年)2:30 U-NEXT

スティーブン・スピルバーグの自伝映画。幼少期に初めて観た映画「地上最大のショウ」の影響から映画を撮るようになり、両親の離婚を経て、映画業界に最初の一歩を踏み出すまでを描く。

スティーブン・スピルバーグ監督。ミシェル・ウイリアムズ、ポール・ダノ、セス・ローゲン、ブリエル・ラベルなど。デヴィッド・リンチも! 音楽はジョン・ウイリアムス。

よかった! 映画の原体験、映画制作を楽しんでた状況ではなくなっていく切ない感じや、母親と父親の「映画/芸術」に対する考え方の違い。家族や学校で撮影した映像の編集を通して映画の(ダークサイド含む)「力」を実感していくところなど。訪ねてきたおじさんが主人公サミーにアーティストの心得を説くシーンもいいし。おじさんのジャド・ハーシュは「普通の人々」の精神分析医の人!

特に、家族映画を編集しててあることに気づくシーンが異様なほどていねいに描かれてて、スピルバーグの思いが溢れ出てる。同級生たちのエピソードふくめて、どれも全部感心するくらいよくできてる。普通なら1カ所あればすごいみたいな、記憶に残る印象的なシーンをいくらでも作れちゃうんだ。。

ラストのアレは洒落てるw え?これでおしまい?って感じもあるけど、鮮烈な印象で、気持ちよく観終われる。 (その「地平線」の件。子供時代の住宅地の景色など、山に囲まれててやたら地平線が高いな、宮崎駿が「崖の上のポニョ」で海の水平線を不自然なまでに上のほうに描いたのと似てるな、、と思ったのだが、わざとやってたんだ。。。)

自伝映画って自分の思い入れのある記憶を映像化することになるから、他人には「はあ?」な感じになりがちだと思うし、この映画の話を聞いたときはちょっと心配だったけど、ぜんぜん大丈夫だった。ほんとにさすが。

制作に夢中になるあまりの客観やサイコパス性みたいなものは、やはり宮崎駿の「風立ちぬ」と共通するものがある。

いくつかのソナチネのピアノ曲。僕が小学校低学年ときに発表会で弾いた曲だ! っていうか、日本以外で練習曲としてのソナチネはほとんど知られてないって話だったけど、そうでもないのかな? もしかして、スピルバーグは黒澤明経由でソナチネを知ったとか?

・まったく関係ない件。ウィキペディアに映画「A.I.」と「鉄腕アトム」の類似について聞かれ、スピルバーグは「鉄腕アトムはまったく知らなかった」と答えてるそうだが、原作はキューブリック。たぶん鉄腕アトム/アストロボーイの未来都市などの描写を見て「2001年宇宙の旅」のプロダクションデザインをオファーしてきたわけだよね?

●バズ・ライトイヤー(2022年)1:45 Disney+

バズのミスにより、ある惑星に不時着したまま故郷に帰れなくなった巨大宇宙船と人々。責任を感じているバズはハイパー航法を取り戻すために何度も亜光速テストを繰り返す。ウラシマ効果により何十年も経ち、人々は故郷に帰ることを忘れ、バズは孤独になっていき……という話。

『「トイストーリー」でアンディが買ってもらうバズのおもちゃが売り出された架空の宇宙SF映画』の映画化。きっとワクワクする大冒険なんだろうな!と思ってたら、え〜! こんな地味で暗くて悲しい話なんだ。と、中盤から方向転換。ちゃんとアクションもコメディもある。仲間もネコロボットもイイ。

うれしいのが、「トイストーリー2」冒頭のアレと繋げてくれてること(テレビシリーズのアニメ「スペース・レンジャー バズ・ライトイヤー」と、その前日譚の映画版ってのもあるんだ)。

地味かもしれないけど面白かった。ターゲット年齢はたぶんちょっと高め。主に時間SFと言えるのかな。時空がいじられたことで思わぬ人物と対決することになる、その表現も面白いし、「今、生きてるここが人生の本番であり、故郷なんだ」ってのはとても良いテーマ。

惜しいのは、バズはもっとリアル寄りの造形であってほしかったな。本来なら「実写映画」で撮るべき映画だろう。あと「キャシアン・アンドー」でもあった唐突なポリコレ要素が気になった。必要なんだろうけど、唐突は良くない。

・「トイストーリー2」冒頭を確認のため見てみたのだが、1999年、24年前のCGってピクサーでもあんな程度の品質だったんだ?って驚いた。

●シン・ウルトラマン(2022年)1:52 Amazon

現代の日本にウルトラマンや科学特捜隊が登場。監督 樋口真嗣、脚本 庵野秀明、斎藤工、長澤まさみ、西島秀俊、他。斎藤工の神永の顔つきは、ハヤタ隊員というよりはモロボシダンっぽい。嶋田久作の歳を重ねた顔が日本人離れしててカッコイイ。

大筋では面白かった。ネタの宝庫、楽しみがギュウギュウ詰めになってる。昨年、旧ウルトラシリーズ三部作をウルトラサブスクで見直しておいたので、いろいろわかるw

「ウルトラQ」から小走りダイジェストで「ウルトラマン」へ持っていく導入部は素晴らしい! 映像がそれぞれめちゃ短くてもったいない。怪獣が暴れる前半もよく出来てる! 着ぐるみとミニチュア特撮の雰囲気のままで現代風アクションにしたCGがとても良かった。エヴァンゲリオン実写版ってこんなだろうな。

ただ、なじめなかった部分もある。映画って「今そこに起きている現実の出来事や会話を追ってる」と感じるものだと思うんだけど、「シン・ウルトラマン」のドラマ部分は「よく練習された会話」って感じで、現実感がない。

「シン・ゴジラ」もそんな感じだったけど、「内容はちゃんと聞かなくてOK」な感じに振り切れてたしテンポが早く緊迫感があったので気にならなかった。アニメの止め絵のように、シーンの動きが完全に止まっていて、会話だけの状態が延々続くのもしんどい。登場人物たちのキャラクター表現も昔のアニメみたいでしつこい。

・実相寺風の凝った構図がクドすぎる。特に室内のシーンなど変な構図ばかりで疲れてしまう。

・爆発などの効果音。爆発音のテープを切り貼りしてる風の「ズガーン!ズガーン!ズガーン!」は、わざと昔風にやってるんだろうけど、苦手。

・メフィラス星人は美しくてよかった。ゼットンもあの形ではなく怪獣として出してほしかったな。

・ウルトラマンが吸い込まれそうになるシーン、映画館では「がんばれー!」って盛り上がっただろうなw

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