2015/06/11

■グラフィック薄氷大魔王[435] Roseちゃんに会いにパリに行ってきた



■グラフィック薄氷大魔王[435]Roseちゃんに会いにパリに行ってきた

吉井 宏───────────────────────────────────

パリの老舗デパートPrintempsの150周年行事のキャラクター「Roseちゃん」。店頭や店内のあちこちに立体ディスプレイ。メゾン・デュ・ショコラがRoseちゃんの記念チョコを特設会場で売ってる。着ぐるみが歩き回る……。

これはさすがに「人生のハイライト」的なものだろうから見に行かなくちゃ後悔するだろう。しかし、旅行が苦手w コンビニくらいは行くけど半日以上の遠出はかなりの覚悟をしないと行けない引きこもり体質。パリ大好きでフランス語もちょっとできる奥さんに説得されて出かけてきたよー、3日間。死ぬほど疲れたw パリは13年ぶり5度目。

●Roseちゃんの巨大フィギュアと対面

Printemps正面左の歩道に立つオブジェ。台座からてっぺんまで高さ4メートル。すごいインパクトがある。ツルッツルで僕の元のCG画像と瓜二つ。オスマン通りのHDRI画像があったら写真と見分けつかないCGを作れる自信ある。

っていうか、以前から東京の街角で360度全周囲HDRI写真を撮ってCGキャラに映り込ませ、「渋谷スクランブル交差点に立つ巨大オブジェ」とかのニセ写真を作ろうと思ってたけど、実物のほうが先に実現しちゃった。






台座の銘板。名前が入ってます。



ただ、さすがに3ヶ月近くたってるので劣化が進行中。風で揺れて力がかかる足元にヒビ割れが。風で倒れてけが人が出ないか心配。


3〜4箇所の入り口近くに2メートルのRoseちゃん。ファッションブランドが150周年記念のために用意したピンク色の様々な商品といっしょに立ってます。




Printempsの正面はピンク色に装飾され、Roseちゃんの姿も見えます。夜にはネオンになる。




こんなのもあったw ぜったい日本のゆるキャラ文化に憧れてるよね。


アートディレクターのフランク・バンシェ氏は、日本の記者の「ゆるキャラですよね?」に「これがアートじゃなかったら村上隆はちがうのか?」とか言ってるようですが、Roseちゃんの着ぐるみに大喜びしたり一緒に写真を撮ったりしてる人々の反応など見ると、僕的には「ゆるキャラ」と呼ばれてぜんぜんオッケーと思った(「ゆるキャラの定義」はおいといて)。

JB PRESS(全部読むには登録が必要)

日本ではゆるキャラと呼ばれるようなマスコットキャラクター文化そのものが、フランスで新鮮なアートと捉えられるのもそれほど違和感ない。僕としては、Printempsの歴史や格を踏まえた上で「Printemps=花咲く春」をマスコットキャラクターに昇華させたものがRoseちゃんなわけで、生み出す過程はアート以外の何ものでもない、とも言えるんだけど。

●メゾン・デュ・ショコラの記念チョコ

中央吹き抜けの地下1階にメゾン・デュ・ショコラの売り場があり、記念チョコも売ってる。






チョコ売り場の上空には2メートルほどのRoseちゃんが浮かぶ。風船の浮かび方も僕のラフCGそのまま。




●Roseちゃん記念フィギュア

予算の関係で色数を使えず花の中の明るいピンクが省略されてるけど、よく出来てる。ポリストーン製。2000個限定だそうで、売り場に出るとすぐ完売しちゃうそう。




YouTubeでこんなの見つけた。フィギュアや人形のレビューをしてる人らしい。PrintempsのRoseちゃんフィギュアの紹介動画。何を言ってるかというと、「かわいいかわいい! 箱の説明、手塗りであることや制作会社、ピクミンみたい、作者が気になる人は検索してね」などなど。

Review Rose Mascotte Anniversaire 150 ans PRINTEMPS par Hiroshi Yoshii

Roseちゃんフィギュアは通信販売されてるけど日本からは買えないっぽい orz

●3日間の強行スケジュール

1日目はパリのエージェントCostume3piecesのスタッフ(Roseちゃんも含め、十数年前からヨーロッパの仕事でお世話になってる)やフランスの仕事を始めるきっかけになったアートディレクターのBouillet氏やPrintempsの人たちとミーティングや食事。いっしょに店内を回って写真撮影。


2日目の前半のみ純粋に観光。僕的にずっと行ってみたかったビル・アケム橋へ。「インセプション」や「ラスト・タンゴ・イン・パリ」(未見だけど「地下鉄のザジ」も)に出てくる鉄道高架の支柱が並んでる橋です。まあ、単に見たまんまの橋ですw で、わかったのは、何回か前のパリ旅行でエッフェル塔周辺を歩き回ったとき、高低差のあるパッシー駅の階段を降りたこともあるのに、その数十メートル先がビル・アケム橋とは気づかなかった!


もう一つ観光。昨年秋、ブローニュの森に完成したルイヴィトン財団美術館にも行った。メインの展示はすごい行列だったので断念。建物の屋上から地下までフランク・ゲーリーの建築を見てまわり、レストランに行ったくらい。


2日目後半はルーブル美術館の地下のPrintempsルーブル店へ。ここにも入り口にRoseちゃんの立体ディスプレイがあるので写真を撮るのが目的。フィギュアも売ってました。


3日目はもう一度Printempsで写真を撮りまくり、午後には空港へ。土日にしか登場しない着ぐるみのRoseちゃんに会えなかったのが心残り。

●その他

ところで、パリは中国人観光客がめちゃくちゃ多い! 日本人観光客はほとんどいない印象。以前は東洋人を見かけるとたいてい日本人だったのに。あちこちのブランドショップに行列できてる。ロープが張ってある中にきちんと行列してるのはさすが現代の中国人。ルーブルの地下も中国人で埋め尽くされてた。25年前の日本人がこんな感じだったんだろうなあと感慨。パリのお店の人たち、東洋人に親切になってるっぽい。

あと、デパートやお店や美術館などの入り口には必ず屈強な警備員がいて、すべての客のバッグを開けて中身を確認してた。テロ対策なのかな? 実は3月のオープニングレセプションに呼ばれてたんだけど、行くかどうか決めようとしてたときに例の出版社テロ事件があって、パリ行きは6月まで延期したのでした。

5月30日にフジテレビの「にじいろジーン」でちらっと出てきたらしい。検索したら動画発見。30:53あたり。誰かが「ゆるキャラだ!」って言ってるけど、ナレーションは特にRoseちゃんについての言及無しw

【吉井 宏/イラストレーター】

http://www.yoshii.com
http://yoshii-blog.blogspot.com/

もともと引きこもり体質であったものの、10年以上前の2Dの出版イラストがメインの時代は、一週間旅行に行くために前後1ヶ月の仕事のスケジュールがめちゃくちゃ大変なことになってた。それで旅行アレルギーになっちゃった面が大きい。今はスケジュール的にはそれほどでもないのでもっと行けばいいんだろうけど、今度は体がキツい〜。12時間座りっぱなしで往復は勘弁してほしい。揺れて気持ち悪いし。カプセルホテル型の座席を希望〜。

3月のRoseちゃん情報解禁のときの記事

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