2012/11/10

3Dプリンタがブームっぽい

3Dプリンタが一般のテレビ番組や雑誌で取り上げられることが多くなり、「3Dプリンタ」ってものがかなり知られてきた。こりゃもう世の中的には普通に「トレンド」とか「ブーム」とかなんだろうね。「3Dのデータから直接モノを作ることができるらしいぞ!」って沸き立ってる。僕も「3DCGから3Dプリント」はひととおり経験しましたので、最初の興奮はすごくわかります。

ビューンで読んだ週刊朝日の記述。「3Dプリンタのすごいところは、考えたアイディアをすぐに形にできることです。あっという間に造形できるので、まるでドラえもんの四次元ポケットみたいなものです(笑)」とか。・・・なんちゅうか、目を覆いたくなるようなコメント。そういうこと言ったら誤解されちゃうダロ! 「形を考えて3Dデータを作る」のがたいへんなんだよ〜!

3Dデータが実体化するなんてのは珍しくもなんともない。ずいぶん前からありとあらゆる工業製品が3D CADで設計され、データから作成した金型で生産されてるわけで。3Dといっても、アニメとかのCGに使われる3Dデータはたいてい「ポリゴン」でできてますが、3D CADはまったくちがうものです。で、3D CADソフトってのは超高い! 今の3Dプリンタの盛り上がりはたぶん「アニメやゲームに使われるCG、僕らにも作れる3Dデータを実体化できるんだ!」ってところが根本にあると思う。

ポリゴンで作ったものは面の集合ですからカクカクしてる。カクカクしないようにするには何十万ポリゴンが必要ですが、それはフィギュア原型の世界であって、特殊といえば特殊。そもそもポリゴンモデラーで正確な寸法のものは作りにくいです。容器とかスマホケースとか実用的なものを作るには形状を寸法や角度や容積で定義するのに特化した3D CAD系のほうが向いている。

「サーフェイスモデラー=CGソフト」、「ソリッドモデラー=3D CADソフト」という分け方があります。CGソフトで作ったものは「表皮だけのアバウトな形」、3D CADソフトで作ったものは「中味が詰まってて隅々までキッチリ定義された形」って感じかな。

とはいえ、ポリゴンモデラーは手軽なので、正確な寸法がいらないのならぜんぜんアリです。ゲームのキャラのようなローポリのモデルを色付きで出力して楽しんでる人もいるようですよ。そう、ZPrinterという3Dプリンタは、顔も服の模様も色付きで立体出力できるんです。

ZPrinterの画像検索

で、なぜか日本ではその方向での盛り上がりがまだ見えないのが「子供の工作に3Dプリンタ」なのですが、海外では最初からそっちを意識した展開するのが普通のようです。Autodeskは無料の簡単な3D CADアプリ「123D」を中心として、3Dプリントまで含めた「生態系」を作ろうとしてるようです。123Dで作ったものは、メニューから直接Webで出力の注文まで行けます。

ところで、最近の盛り上がりは「激安3Dプリンタ」中心。以前なら安いものでも数百万円したのですが、CubeやForm1などの十数万円レベルの製品や、さらに安い5万円以下のSolidoodleなどが登場。「モノづくりの新しい希望」みたいになってます。

Cube
Form1
Solidoodle

これらは熱で溶かした樹脂を極細ノズルからニュルニュル出して積み上げる方式の3Dプリンタ。安い3Dプリンタが小さなメーカーからも続々登場するのは、「むずかしくない枯れた技術」だからであって、実は最先端のハイテクじゃぜんぜんなかったりするらしい。

あと、出力ショップの存在。東京でもこういうところ↓ に3Dデータを送れば、最先端の3Dプリンタを使って出力してくれる。

インターカルチャー
デジモデ
ツクルス

・・・っていうか、すいません。この項、実は3Dプリンタ絡みで僕的に進行中の件について、ブームと合わせて前振りで基礎編のようなものになればと思って書き始めたんだけど、ノリノリで書けるのは「上から目線で夢こわす系」のネタばかりだなあと、毒少なめに書いてたら趣旨がぼやけてしまった。

「3Dプリンタ出力作品と価値」「家庭で3Dプリンタと3Dライブラリの無理」などなど、まとまらないけど面白いネタがいろいろあるのでまた書きます。

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