
日活プラスで、観たことなかった有名映画を急いで何本か見てしまう特集その6。小林旭の「渡り鳥シリーズ」をもう少し見る。日活プラスの期限も迫ってるので、評判良さそうな作品を選んだ。シリーズものを何本も続けて観ると、それぞれの違いが見えてきて面白くなってくるが、このくらいにしておく。
小林旭のキャラクターって、70年代の特撮ヒーローものの主人公の下敷きになってるね。無国籍アクションとかファンタジーとか言われるけど、西部劇世界のように普通に拳銃を持ち歩いてたりするのは「いちおう日本の法律は関係ないんで」ということも含まれるようだw
シリーズ全体が、同じ俳優陣が設定を変えて似たような物語を演じる「ごっこ遊び」のようでもあり、それが映画会社の「スターシステム」なんだろう。観る側としては難しく考えずに楽しめる。いつもの役者たちがいつものキャラを、舞台だけ変えて演じてる。もちろん、マンネリなんだけど。
●渡り鳥いつまた帰る(1960年) 1:19 Amazon
監督:斎藤武市、出演:小林旭、浅丘ルリ子、中原早苗、川地民夫、宍戸錠、内田良平、南田洋子、金子信雄、他。ゲストにこまどり姉妹。これだけ日活プラスではなく、画質が悪い。
渡り鳥シリーズ第3弾。佐渡島に渡った小林旭が、鉱山を営む家族と、廃坑に隠された旧日本軍の財宝を狙うボスとの抗争に巻き込まれる……という話。
何本か観てきた小林旭ものと構造はほぼ同じ。流れ者の旭が、いじめられている地元の家族を助けようと、町のボスに近づき、秘密を暴き、一度はやられたように見せてからの復活、そして最終対決。地元の祭りで旭が歌う、というお約束つき。
ただし本作では、旭に振られたらしき女性、誤解で旭を兄の仇と思い込む宍戸錠、さらに誤解を招いた殺し屋まで登場し、やや複雑。上映時間1時間19分ではやや詰め込みすぎ。せっかくの浅丘ルリ子はほぼ、いるだけ。
●大草原の渡り鳥(1960年) 1:24 日本 Amazon(日活プラス)
監督:斎藤武市、出演:小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠、南田洋子、金子信雄、江木俊夫、他。
渡り鳥シリーズ第5弾。父親に託された少年を連れてその母親に会いに釧路にやってきた小林旭。アイヌの村を繰り返し襲撃し、つぶして空港を作ろうとしている町のボス。そのボスに借りた金の返済に苦しむ硫黄製錬所の家族。小林旭はボスやその用心棒たちと対決することに……という話。
シリーズ最高傑作と言われることもあるとのこと。北海道の自然を舞台にした西部劇っぽさは格別かもしれない。なぜ子供連れ?と思ったら、前作「赤い夕陽の渡り鳥」の結末からの続きになってたらしい。
・アイヌの描写は、シリーズが西部劇モチーフである以上、インディアンに相当する存在。そのへん、単にインディアンを敵とする視点から卒業した時代のインディアンの描写と類似してるかもしれない。
・金子信雄、悪役顔を作りすぎてちょっと浮いてて、変w
・「撃ち合いが終わるとサイレンを鳴らしたパトカーが駆けつけ、宍戸錠を逮捕して連行」は前々作「渡り鳥いつまた帰る」とほぼ同じw
・ラストの別れが「シェーン」そのまんますぎてちょっとあきれるw 日本人「シェーン」好きねえ。っていうか、これら小林旭シリーズ自体、「シェーン」などの西部劇を下敷きにしてるんだろうけど。
・1:06:30あたり、初期ウルトラシリーズに何度か出てきた俳優 大村千吉が太鼓を叩くアイヌ青年役で出てる? 目をむき出したり怖い表情をしてた怪優。調べると東宝専属だったようで、違うかなあ。
●波涛を越える渡り鳥(1961年)1:19 日本 Amazon(日活プラス)
監督:斎藤武市、出演:小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠、金子信雄、藤村有弘、白木マリ、他。
渡り鳥シリーズ第6弾。横浜港で強盗団に襲われた男を助けた際、強盗の一人が戦中にタイで死んだ兄が身につけていたネックレスを持っていた。強盗団を追って香港、さらにバンコクへ。日本軍が隠した財宝を巡る争いが……という話。
主にバンコクが舞台とあって、西部劇っぽさは薄め。無国籍アクションものといった感じ。出演はほとんど日本人。小林旭は同じ滝伸次を演じてるけど、常連俳優たちは外国人の役だったりする。中でも宍戸錠は非常に特殊な役柄。
・第3弾「渡り鳥いつまた帰る」も日本軍が隠した財宝を巡る争いだったw
・いつものように異常に美しい画質で、1960年の香港やバンコクがカラーで克明に映る。これはかなり貴重では? 戦後たった15年!
・どこの町が舞台であれ、ほぼ同じ雰囲気のナイトクラブとかキャバレーが出てくるねw
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