2013/06/27

WACOM Inklingを今さら使ってみた


WACOMのInklingっていうデジタルペン。おととしの秋に入手したのにちょっと試しただけで放ってあった。仕事のどこに組み込めるのかわからず、興味を失っちゃったのでした。最近の液タブだのSurface Pro絡みで「手書きとデジタルの混在」関連で思い出してちょっと使ってみた。

あと、最近デジクリの後記で濱村さんがこの種のペンについて連続で書いてたのを読んで、そういえばInkling持ってたじゃん! ってことで。今さらですが、ちょっとレビューしてみます。

●Inklingとは?

Inklingってのは、MVPenやぺんてるairpenなどのような、赤外線/超音波でペンの位置を測定して絵や文字を記録、クリップに保存。読み込んだ絵のデータをパソコンに読み込めるペンです。ボールペンで紙に描くと同時にデジタルでも記録され、USBでパソコンに読み込めばそのまま使えるというアレです。手書きとデジタルのいいとこ取りを狙った製品。

簡単に言うと、位置を感知させる機構が入ったボールペンを使い、位置読み取りクリップをはさんだ紙やノートに書いたものが、そのままベクターデータとして記録される仕組み。クリップのメモリーに何百枚のスケッチが記録できる。筆圧が効くし、レイヤーも分けられる。

Inkling製品サイト
Inklingブランドサイト
ニュースリリース

●使ってみた

Inkling、ケース状態。カッコイイです。このままUSBでパソコンと繋いで充電したりデータやりとりできる。

Inkling、ケース開いたところ。替え芯やUSBケーブルも収納される。基本的に、これ1セットと紙があれば使える。

紙は最大A4だけど、もっと小さい紙や縦横なども設定できる。これはA4の紙にラクガキしてるところ。


パソコンに接続すると、Sketch Manegerというファイルブラウザで、クリップに記録された絵を閲覧/保存などできる。保存されている形式は「.WPI」ですが、IllustratorとPhotoshopで直接開けるボタンもある(BMP、JPG、TIFF、PNG、SVG、PDFなどで保存できるそう)。
Illustratorに読み込んでみた。基点の位置がずれてますね。線の太さはあらかじめ設定できる。このままだとポイント多すぎですけど、パスの単純化をすればいいでしょう。

みなさん一番気になるであろう「読み取り精度」はどうかな? フラットベッドスキャナで読み込んだ紙(赤い線)とInklingでデジタル記録された絵をPhotoshopで開いた絵(黒い線)を重ねてみた。縦横の比率は直さず、サイズと回転のみでできるだけ合わせてみた。

どうでしょうか? 精度。スケッチや走り書きメモだったら僕は十分だと思います。比率がわずかに縦長になってたり、読み取り部から遠い部分ではちょっといいかげんな感じになったり、近すぎる部分は記録されなかったりしてますけど、そのへんのクセを解った上で使えば問題ないでしょう。Inklingを日常的に本気で使うつもりだったとしても、そりゃもう基本性能的には不足はないと思われます。・・・・ただ〜〜し!!!

●根本的に惜しいところ

ただ〜し、Inklingを使うのと、スマホやiPadで「紙をスキャン的撮影」するのとどちらがラクか、どちらが合理的か? といったら、どう考えてもInklingを使わないほうがラクだし合理的だよなあ〜〜〜。「紙とデジタルのいいとこ取り」ではなく「めんどくさい部分を集めた」感じ。

「紙のメモをデジタル化してクラウドへ保存して安心」っても、メモ紙をなくすことなんて滅多にないし。精度的にも見映え的にも、そのへんのいらない紙の裏に書いてスキャンするほうがぜったいキレイだしねえ〜〜。

あと、クリップ部分が描くときにけっこうジャマ。手で遮っちゃダメだし、紙をぐるぐる回すのもやりにくい。っていうか、読み取り部のせいでほとんど回すことができないも同然。ペラ紙の手軽さが失われちゃう。やっぱスキャンするほうがいいわ。

あと、これは個人的好みだろうけど、油性ボールペンでスケッチなんてできないよ〜。滑りすぎちゃう。水性顔料インクのボールペンでないと。

そうそう、Inklingで筆圧が効く利点は?ってのは、油性ボールペンって強弱つけられるじゃん? あの程度の線の表情はつけられるってことなんだけどね。

●Inklingで板なしペンタブ!

知られてないかもしれない面白い機能がある。クリップをパソコンに繋いだ状態でペンを使うと、「板がいらないペンタブ」になるのだ〜〜。もちろんそのまま描くと机の上にボールペンで書いちゃうことになるので紙を敷いたほうがいいけど。

もちろん精度はたいしたことないし、サイドボタンも使えないけど、ポインティングデバイスとして使えるし、Photoshopとかでとりあえず絵を描くことはできます。ただし、比率の調整ができないので正円を描いても画面状では少しつぶれた楕円になります。用紙の設定で解決できるかもしれないけど未検証。

●期待していたことと、実際に役立つ場合とは?

Inklingでできるかも! と期待してたのは、出先で「スキャナなしでスケッチ取り込み」と「ペンタブの代用」があのコンパクトなペンセットを持って行くだけで可能ならカッコイイじゃん! おもしろいじゃん!! でした。結論としては、「おもしろいんだけどなあ〜。う〜〜〜ん。実用にするほどメリットないなあ〜」って感じか。

Inklingを入手直後に試してすぐしまっちゃった理由は主に、「油性ボールペンだったから」「軸が太くて好みじゃないから」「USBを繋いで読み込むのが面倒だから」でした。改めて試して精度がそこそこいいのは感心したけど、使うまでに至らない理由は同じだなあ。

例えば、iPadのEvernoteの書類カメラ機能って、細かい文字までピシピシに撮れてびっくりするよ。紙のメモの保存だったら、ややこしいデバイスを使わなくてもアレで十分。

実際のところ、Inklingはどんな人に便利なのか想像してみる。たぶん、レポート用紙にものすごい勢いでアイディアとか思考や考察などを書きまくる習慣のある人、それも一日に何十枚にびっしり書く人。そんな人が、メモの管理に使うと便利だろうなと思う。大量の紙を使って絵や図でアイディアを練る人も同様。スキャンや撮影が面倒なほど多く書く人なら、この種のペンの恩恵を受けられるんじゃないかな。
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