2007/03/02

PainterX発表


PainterXが発表されました。昨日、PainterXの発表会で新機能のデモンストレーションをしてきました。
概要です。

●作業領域
パレット配置の保存と似てますが、作業領域はパレットの構成だけでなく、「ブラシツールやマテリアルの内容を作業に合わせてあらかじめ構成しておくもの」です。コーレルの人に「ぜひこれについて触れてください」って言われて「地味なのになあ」と思いながらいじってみたところ、これはびっくりするほど良いです。PainterXの目玉機能と言ってもいいくらい。

たとえば、僕は普段、ほぼチョークとエアブラシと水滴のいくつかしか使わないのですが、何百のブラシの中からいちいち選ぶのは面倒。なので以前はブラシが入っているフォルダの中身を捨てたり入れ替えたりしてました。PainterXでは必要なブラシだけ選んで構成できる。このデモのために「グリッドの説明」「スマートペイント」「リアルブリスル」など用意し、切り替えて使いました。カラーマネジメントやブラシトラッキングの設定まで、それぞれの作業領域セットに保存できます。

多機能になりすぎてブラシ選びも大変だったPainterを、目的に応じて自分に合わせてブラシ構成ごとカスタマイズして保存しておける。これで、アーティストはPainterの都合に合わせる必要がなくなり、自分の作業環境を自由に構築して、いつでも目的に応じて切り替えられる。つまり、簡単に自分だけのPainterを組めるということ、です。で、構築した作業環境はどんどんブラッシュアップしていけるし、書き出して他のマシンでも自分の環境をいつでも使えるということ。

●黄金分割とレイアウトグリッド

黄金分割はもっとも美しい分割比率と言われているもので、名画の多くはこの比率が構図に含まれてるらしいです。使い方としては、構図や配置に迷ったとき、この機能を使って最も美しい配置を探る、というようなもののようです。

今までもグリッドはありましたが、透明度の変更すらできない不自由なものでした。新しいレイアウトグリッドは、いろいろ変更、不透明度も変えられ、設定を保存もできる。

グリッドというのはそれほど重要と思われてないでしょうけど、実はすごくありがたいのです。タブレットで描く場合、水平・垂直の感覚が鈍くなります。手を水平に動かしたつもりでも傾いた線を描いてしまう。それでタブレットの角度を微調整するわけですが、同時に、画面にうすーくでもグリッドがあれば、水平・垂直の感覚を失わずに描くことができるのです。白い画面に新しく描くときはグリッドは必須です。

●調和パレット
二枚の画像の色調を合わせる機能。カラーセットの色を使ってポスタライズする機能がありましたが、それの進化したようなもの。複数の写真の色調を合わせるのに非常に便利。画像処理ソフト的にとても実用的。

●スマートペインティング
Painter9.5で追加された、写真を自動的に絵画に加工する機能(以前のクローン描画を高機能にして簡単に使えるようにまとめたもの)を大幅に機能アップしたもの。

まず、太いストロークが画面をおおまかに塗りつぶし、中くらいのストロークが塗り分けをし、細いストロークが細部を描く、ということが自動的におこなわれます。写真の輪郭や明暗の移り変わりに応じて、ストロークの方向が変わっています。スマート設定のチェックだけはずすと、細いストロークが輪郭をなぞりながら描かれておもしろいです。

これは、Painterが絵が描ける人たちばかりでなく絵が描けない人たちにも、写真を絵画風に加工するソフトとして登場して以来初めて、人間が手を下さなくても、輪郭を意識した描画ができるようになった、ということ。つまり、今までは機械的に写真から色を取ってきて無造作にストロークをばらまくだけでしたが、PainterXのスマートペインティングは、賢いです。

●リアルブリスル
油絵の具系、油彩系の新しいブラシです。今までにもかなり本物そっくりな油彩ブラシがいろいろ搭載されていましたが、リアルブリスルは次元が違います。(ところで、カーソルにも大きな機能アップがあります。ブラシゴーストの強化をオンにすると、カーソルにブラシサイズだけでなく、ペンの角度が表示されます。さらにワコムタブレットのオプションのペン「マーカーペン」を使うと、ブラシの軸の回転まで関知、その回転も示されます。まあ、ちょっと動作が重くなりますが)

リアルブリスルは、ブラシの毛の一本一本がキャンバスとどう接触し、その時絵具はどういう混ざり方をするかをシミュレーションしています。マーカーペンを使うと、平筆をねじりながら描くような、自然な描画が可能。非常にリアル。

■まとめ
派手な新機能という点では、PainterXでは、「スマートペイント」と「リアルブリスル」くらいのもので、これはこれでもちろんスゴイ機能なのですが、今回のバージョンアップは、地味でも「作業領域」「グリッド」などのように制作のプラットフォームとしてのPainterの足下を固める機能アップが多いと思います。あと、僕的にうれしい地味な改良として、キャンバスとレイヤーでテクスチャの位置がずれなくなったことも。

あと、最近のPainterのリリース直後の「.0」のバージョンは、変な仕様変更や不具合が残っている、というのがありました。なので、8.1とか9.1とかのアップデータが出てようやく完全に使えるようになる、という感じでした。しかし、今回のPainterX、10.0は、最初から完成度が高く、僕もすでに仕事に使っています。というのは、インテルMac対応というのもありがたいんで。もちろんWindowsVistaにも対応しています。

最近はそれほど聞かなくなりましたが、「Painter6」、正確にはPainter6.1が最高のPainterと言われてきました。確かにPainter6.1は機能のバランスが絶妙で、完成度の高いバージョンでした。僕の印象では、8.1のカスタムパレットの復活でまともに仕事に使えるものに戻り、9.1でズームの仕様が修正された時点でPainter6は完全に越えたと思いました。PainterXでは、ペイントソフトとしてさらにその先へ到達しています。

以上がデモで話した内容です。

他に、触れなかった改良点としては、
●ツールパレットの「消しゴムツール」でブラシサイズ変更と不透明度変更のショートカットが効くようになった。
●新しくツールパレットに入った「覆い焼き・焼き込みツール」でもショートカットが有効。
●カラーマネジメントの強化(ICC4.0準拠)
●動作が速くなった。起動も数秒以内(デモで作業環境を切り替えるときに一瞬落ちたけど、数秒以内に起動しなおして継続できたのにはちょっと感動)。
などなど。あと、500個限定ですが、缶パッケージも復活。

記者発表に雇われたデモンストレーターの立場だけでなく個人的な感想としても、PainterXはかなりよく出来ていて、完成度が高いです。もちろん、ここをこうしてほしい、という要望はまだありますけど。9.1でズームの仕様変更を強力に要望して実現したことと同様、今回、レイヤーでのテクスチャのずれの修正が実現して、僕的には非常に満足してます。

コーレルのプレスリリース

ITmediaニュース
コメントを投稿

TDW_2709