2024/04/20

最近観た映画メモ「スターリンの葬送狂騒曲」他



●DUNE/砂の惑星(1984年) 2:16 アメリカ U-NEXT

監督・脚本 デイヴィッド・リンチ、製作 ディノ・デ・ラウレンティス、出演 カイル・マクラクラン、マックス・フォン・シドー、ショーン・ヤングが出てたの当時気づいてなかった。リチャード・ジョーダンって最近何かで見たと思ったら「2300年未来への旅」(1976年)の親友役。他パトリック・スチュワートなど。

日本公開は1985年1月、当時観に行ったけどよくわからなかったしストーリーも覚えてない。どんなだったか確認しようと見始めたら、ヴィルヌーヴ版と同じシーンというか、解釈は違っても対応するシーンがずっと続き、あ、けっこう見やすいかもと、全部見てしまった。大筋がわかってるのでとてもラクだった。

ヴィルヌーヴ版のPart1に相当するのは半分ちょっとまで。その後はPart2の予習に。大幅カットされてるため、ポールがリーダーになったり、妹の登場、戦いの始まりなど、いくつか唐突に思える部分もあるし、クライマックスの戦争はグダグダだし、決闘シーンも意外なほど地味。とはいえ、まったくわからなかった当時にくらべればぜんぜん楽しめた。

特に感じたのは、部屋が狭い! セットも狭いし、画角も狭くて画面内がギッシリで見にくい。ヴィルヌーヴ版は屋内も屋外もめちゃ広くてスケールが大きいのだが。

音楽 ブライアン・イーノ、TOTO。当時もエレキギターがやたら軽く感じたけど、考えたら同じくラウレンティスの「フラッシュ・ゴードン」(1980年)と同じノリだったのかも。そっか、「要素全部豪華に揃えてるのになぜか絵面がやたら軽い」ってテイストはラウレンティス風味なのかな。

当時、かっこよく見えたCG処理のシールドが信じられないほどちゃちく見えて残念。あと、合成が非常に粗い。1984年時点でこれだと完全に技術不足。出来のいいカットと悪いカットの差が大きい。アナログで色調を合わせるのむずかしかったんだろうな。。。

乗り物や小道具やファッションなども、良いものが多いのは最初の印象と同じ。これで特撮がよくできてたらなあ、、、CGで再現したものを見てみたい。ところで、サンドワームに乗る時に使う黒と黄色のロープって、日本でよく見かけるあのロープに見えてしかたないw

デイヴィッド・リンチ監督とはいえ、やはり編集権がなきゃ手足縛られてるようなもの。あと、リンチ作品を初期からいくつも見た今だからわかる、個人的な趣味で入れた部分あるねw まあ、大スケール作品にはもともと向いてないかもしれない。

・前半のスパイス採取車の乗組員としてデイヴィッド・リンチ本人が出てる! エンドクレジットにもないし、検索しても見つからないけど、IMDbには「David Lynch ... Spice Worker (uncredited)」ってなってるから確か。
https://www.imdb.com/title/tt0087182/fullcredits/?ref_=tt_cl_sm

・ショーン・ヤング主演で「プラネット・デューン 砂漠の惑星」(2021年)という映画があるのだが、何だこれ?と思ったら、アサイラムというB級映画大量製作の会社が作ったトンデモ作品らしい。なぜ出たショーン・ヤングw
https://www.albatros-film.com/archives/13440/

●スターリンの葬送狂騒曲(2017年) 1:46 イギリス・フランス U-NEXT

粛清の嵐が吹き荒れる1953年のモスクワ。スターリンの急死。葬儀の準備と、指導者の座をめぐってフルシチョフはじめソ連の有力メンバーに巻き起こる権力争いのブラックコメディ。原作はフランスのグラフィックノベル/コミック「THE DEATH OF STALIN」と「comic」で検索すると絵が見れる。

アーマンド・イアヌッチ監督。スティーブ・ブシェミ、サイモン・ラッセル・ビール。ピアニスト役のオルガ・キュリレンコって、「オブリビオン」(2013年)や最近観た「セブン・サイコパス」(2012年)の!

めちゃくちゃ面白かった。何か一つ間違えば(間違えなくても)すぐ粛清リストに載って連行されてしまうピリピリ感の中、スターリンの死という巨大爆弾の破裂。「恐怖と笑いは隣り合わせ」の見本。ただ、割とあっさり終わってしまうのがちょっと残念。もっと見たかった。

フルシチョフのスティーブ・ブシェミ、他の有力者に振り回されるイジられキャラかと思ってたら、だんだん怖い展開の中心人物になってきて、洒落にならない恐怖レベルへ。(ブシェミは多田野曜平がやることが多いらしい。ときたま山田康夫っぽい声になるw) 他、全員いい味出してるけど、特にマレンコフ役のジェフリー・タンバーがイイ。

●グリーン・ベレー(1968年) 2:21 アメリカ U-NEXT

盛り上がるベトナム反戦運動にうんざりしたタカ派ジョン・ウェインが、大統領リンドン・ジョンソンに掛け合ってアメリカ陸軍の全面協力を取り付け、自ら製作・監督した映画(製作は息子のマイケル・ウェイン名義)。

つまり、ジョン・ウェインが自主的に作ったプロパガンダ映画。アメリカ軍は南ベトナムを共産勢力から助ける正義の味方。北ベトナム軍ベトコンはあくまで極悪非道の連中として描かれる。

出演はジョン・ウェイン、デヴィッド・ジャンセン、ジョージ・タケイなど。音楽はエルマー・バーンスタインに思想的理由で断られ、ミクロス・ローザが担当(今はロージャ・ミクローシュと言うらしい)。

陸軍特殊部隊の基地で民間向けの記者会見。ベトナム戦争介入に懐疑的な記者はジョン・ウェインに「戦場見たことなきゃわからんだろ」と言われ、同行することになる。奥地の南ベトナム軍キャンプに到着、記者は戦場の現実を知る、、、という話。

空軍基地や多数のヘリコプターの編隊など本物が撮り放題なため、かなりの迫力がある。ロケ地はジョージア州フォート・ベニングの陸軍駐屯地。もちろんベトナムへは行ってないし、ベトナム人にはとても見えない人種の俳優もいたりする。ジョン・ウェインは悠々と練り歩く頼りになるリーダーといった風。

面白かったかというと、う〜ん。。。世界最強の米陸軍特殊部隊グリーンベレーの大活躍を描く映画かと思ったら、「ベトコンの総攻撃を受けてキャンプ地から命からがら脱出・退却(なのに、空軍にあっさりやっつけてもらってる)」、「美女とのコネを利用し、敵の将軍を拉致する敵中空挺作戦」。堂々の大勝利は無いし、脇役の味方の兵士はずいぶん死んでしまうし。これ、プロパガンダ映画として役に立ったのかな?

・共同監督のレイ・ケロッグは動物パニックC級映画の監督。ジョン・ウェインが監督として手がけた「アラモ」が大失敗してるので、ワーナー・ブラザーズが心配になって共同監督としてつけたそうw いちおう「グリーン・ベレー」はそこそこヒットした。

・南ベトナム軍の日系人俳優、ジョージ・タケイともう一人、ジャック・スーは中国的芸名だけど日系人。「モダン・ミリー」(1967年)でパット・モリタとともに屈辱的東洋人の役をさせられてて顔を覚えてた。(あ、上記のエルマー・バーンスタインはその「モダン・ミリー」でアカデミー作曲賞)。

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