2020/06/11

最近観た映画メモ「フレンチ・コネクション」他

「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ(落穂拾い編)」、70年代後半まで行ってたけど、今回はちょっと前半まで遡った。観たことあっても中学高校くらいで観たのは内容ほとんど忘れてるし、もう一度ちゃんと観ておこうってもの含めていくつか追加。U-NEXTのポイントが失効しそうなので、次回は新作消化ウイークになる予定。

●フレンチ・コネクション(1971年)

ウィリアム・フリードキン監督、ジーン・ハックマン、ロイ・シャイダー。中学ときにテレビで観たはず。ジーン・ハックマンのポパイ刑事の乱暴者ぶりと「ジョーズ」のロイ・シャイダーが地味な相棒、と、高架の電車を追いかけるカーチェイス。以前の怖いニューヨークのイメージそのもの。

ポパイ刑事がナイトクラブで気になったマフィアと歓談する若い夫婦を捜査するうちに浮かび上がった、マルセイユ経由で密輸された大量の麻薬の取引。本格捜査を開始。抜け目なくしぶとい大ボスのシャルニエ……って話。続編を観ちゃってるからかもしれんけど、「ええ〜〜! 話の途中で終わっちゃうんだ!」って印象w 面白かったけど。

ジーン・ハックマンが若くて感動するw めちゃめちゃイキイキしてる。張り込み、追跡、カーチェイスなどのときの表情、どれも全部イイ。シャルニエに
おちょくられて悔しがるシーン、最高。

フリードキン監督、ヌーベルバーグに影響を受けてるそうで、オールロケ、ハプニングとか現場での生の反応を取り入れたりのドキュメンタリータッチ。それで無許可のカーチェイスだって。

テレビで観た当時は相当衝撃的な印象だったけど、今観ると、突出した感じはなくて割と普通。その後の映画やドラマでリアルなタッチが当たり前になったからだろうな。

冒頭のナイトクラブで歌ってる3人と楽曲が70年頃のすごくいい感じ。ブレイク前のザ・スリー・ディグリーズだそう(メンバー入れ替わり後ではあるけど、PWLプロデュースの楽曲は好き)。

実話なのでモデルがいる。ポパイ刑事のモデルのエディ・イーガン刑事はこの映画で上司を演じてる。なんと、ジーン・ハックマンに決まる前、いろんな俳優に断られた末にイーガン自身がポパイ刑事を演じる話もあったらしい。
http://www.hawk13.jp/baka/frenchconnection/personnel.html

●フレンチ・コネクション2(1975年)

続編。監督はジョン・フランケンハイマーに交代。こちらも中学ときにテレビで観た。取り逃したシャルニエを追ってマルセイユまでやってきたポパイ刑事、マルセイユのバルテルミー警部と協力することになるが、実は裏がある。勝手な行動を繰り返すうちにシャルニエの組織につかまってしまい、麻薬漬け拷問され、放り出される。地獄の禁断症状。反目しあってきたバルテルミー警部との友情を醸し出しつつ、ついに立ち直ったポパイ刑事が反撃に出る……って話。

めちゃくちゃ面白かった。「1」は人物紹介を兼ねた前半で、「2」が後半のクライマックスって感じ。やはり走る走る! 禁断症状に苦しむポパイ刑事にバルテルミー警部が付き添うシーンはすごくイイ。怒りに燃えるポパイ刑事が組織のアジトにガソリン撒いて焼き討ちってのは、今的に相当ヤバいネタ。文化・言葉の違いや急襲や監禁や禁断症状やドックや銃撃戦や追跡につぐ追跡、見せ場が非常に多くて派手。

吹き替え版で観た。ジーン・ハックマンは小池朝雄。で、ところどころ字幕になるのは今までもよくあった「テレビ放映用にカットされた部分は日本語音声が無い」だろうけど、その部分がかなり多い。セリフの半分くらいが字幕。この映画ではフランス語のシーンも多いしクライマックスなどほとんどセリフ無しなので気にならないけど、やはりテレビでは相当カットされてるのね。

麻薬漬け拷問されるポパイ刑事がボロボロになりながらも立ち直るエピソード、「ボルサリーノ2」でドロンがアル中にさせられて立ち直るのとかぶるんだけど、調べたらほぼ同時期に作られてるのね。

↑先日書いた「映画がいつ作られたなんて意識なかった」好例。「ボルサリーノ1・2」を観たのは中学ときで、カセットにあのテーマ曲やドラマ部分なんかを録音したのが残ってたりする。でも、それが当時のたった2〜3年前の新しい映画だったなんて思いもしなかった。「アラン・ドロンのゾロ」が「ジョーズ」と同じ年の映画だったなんて、とか。あと、当時コマーシャルにもよく出てたアラン・ドロン。なんで人気があったかというと、フランス映画が普通にハリウッド映画のように日本でも公開されてたわけで。隔世の感。(アラン・ドロン作品の配信は非常に少ない)

●パピヨン(1973年)

中高生のときテレビで観たような気がしてたけど、ラストしか覚えてなく、通してちゃんと観たことなかったと思う。フランクリン・J・シャフナー監督、ダルトン・トランボ脚本、スティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマン。

殺人などしてないのにハメられて終身刑になったパピヨンと呼ばれる男。ギアナの刑務所に入れられてしまう。知り合って変な友情で結ばれたドガ。何度も脱獄を試み、独房に何年も入れられ、、しかし……って話。病気の島の人々や原住民はやさしい。修道院、ひどいw

面白かった! 自由への渇望! マックイーンってそれほどイイと思うことが少なかったけど、この映画での彼は最高! 「大脱走」での彼を百倍に増幅したよう。ダスティン・ホフマンもいつものあの調子で引き込まれる。というか、マックイーンを食っちゃってる。あと、映画全体がすごい超大作の貫禄。冒頭の街の中の囚人の移送シーンから度肝を抜かれた。監獄のセットも大自然ロケもすごかった。

エンドロールで廃墟となった本物の監獄が映るのだが、実話なんだっていう説得力がすごい。思わずウルウルするw ウィキペディア見ると、登場人物や囚人たちの多くは実在の人物で、最終的には脱走に成功してたり平和な余生を過ごしてたりするそう。

意外だったのは、ジェリー・ゴールドスミスの有名な主題曲は、劇中の要所要所で控えめに流れるものの、ぜんぜん強調されてない。たぶん、フランス人の物語だからああいうアコーディオンの曲が書かれたけど、使いどころがむずかしくて控えめになったのかも。それでも観客は聞き逃さなかった、みたいな。

ラストのダイバーが見える件は、知っててそこに注目してれば確かに見えるけど、以前観たときは気づかなかったし、普通に観てたら気づかないんじゃないかな〜。

2017年にリメイクされたのね。1973年のオリジナルはほぼ完璧なので、これをリメイクする意味あるのか?とは思うけど。

いろんな監獄や収容所もので思うのは、おとなしく服役してりゃそれほど悪くない環境なのに、脱獄を試みたり反抗したりすると映画みたいに地獄になるんだよねw

●ロンゲスト・ヤード(1974年)

ロバート・アルドリッチ監督、バート・レイノルズ主演。NFLのスターだったヒモ男、クルマを持ち逃げして通報され逮捕、刑務所にやってくる。そこでは所長が仕切る看守のアメフトチームがあって元プロである男に協力を要請するが、そのチームの監督の看守長から妨害され、ひどい仕打ちを受ける。しかし、所長から練習相手として囚人チームを作ることを持ちかけられ、、、って話。

燃える男のスポーツコメディの傑作!と言われてるようだけど、あんまりノレなかった。後半40分もある看守チームvs.囚人チーム試合シーンは、アメフトをある程度わかってないとつまんないんだろう。そこまでのシーンは監獄ものとしてそこそこ面白かったけど。バート・レイノルズは好きなんだけどな。看守長のエド・ローターは「フレンチ・コネクション2」にも出てたな。リチャード・キールも出てる。

試合シーンで何ヶ所かあるマルチ画面はダメだなあ。一つの画面の中で没入してるのに、マルチ画面になると我に帰っちゃう。

これも2005年にリメイクされてるそう。

●マンディンゴ(1975年)

リチャード・フライシャー監督、ディノ・デ・ラウレンティス製作。ジェームズ・メイソン、スーザン・ジョージ、ケン・ノートン、主役がペリー・キング。アメリカ史のタブー、奴隷牧場を描く大ベストセラーの映画化。

南北戦争直前の南部の大農園一家と、奴隷たちの話。終始、胸くそ悪い。ずっと地獄めぐり。非人間的な扱いをやたら強調したり、今の感覚では信じられないような行いを当たり前のようにやったり。主人公は少しだけマシと思わせて、やはり同類。これのちょっと後のミニドラマシリーズの「ルーツ」が牧歌的に感じるほどの。解説見ると、「歴史大作に見せかけた一種のブラックスプロイテーション映画」という捉え方があるそう。

今まで観たジェームズ・メイソンのイメージが覆る、とんでもないひどい奴。スーザン・ジョージはハマリ役とはいえ、こんな役ばっかなのねw

●がんばれ!ベアーズ(1976年)

マイケル・リッチー監督、ウォルター・マッソー、テイタム・オニール、ヴィック・モロー、ジャッキー・アール・ヘイリー。少年野球のダメダメ弱小チームを監督することになった元マイナーリーグ選手で飲んだくれのダメ男バターメイカー。基本のトレーニングから始め、別れた妻との娘を巻き込んでリーグを勝ち上がっていくが……という話。

大昔に観たはずだけど、大筋以外ほとんど忘れてた。そりゃ面白かった。若い時に観たら当然子供の視点で見るし、今だとマッソーやモローの視点で見る。マッソーのダメぶりの度がすぎてて感情移入しづらく、どこに視点を置けばいいのか揺らいで居心地が悪かったw 子供たちの個性がみんなイイ。みんなそういう個性を持って成長していくんだなあと感慨。テイタム・オニールが光ってる。

冷静に見ると、練習して実力が上がったとしても、娘の天才投手と不良少年という意外な二人の参加でチームがめちゃくちゃ強くなって決勝まで行くって、ちょっと単純w 傍若無人なまでに勝ちにこだわってたバターメイカーの改心も唐突。チームの子供たちを大人たちが自分らのメンツのために道具として使う的な感じは嫌だし。子供たち、それでいいのか?

モローの奥さん役のシャリ・サマーズって「ハロルドとモード」のお見合い相手の一人だ。

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