2019/07/06

最近観た映画メモ「怒りの荒野」他

情け無用のジャンゴ(1967年)
怒りの荒野(1967年)
暁の用心棒(1967年)
殺しが静かにやって来る(1968年)

先日発見して追加したマカロニウエスタンDVD4枚。このシリーズ12枚観たけど、う〜〜ん、本当に面白いのはやっぱわずかだな。

●情け無用のジャンゴ(1967年)
最近ずっと「名作」ばかり観てたから感覚が鈍ってるのか……なんだこれ?? マカロニウエスタンってイメージとぜんぜん違う。無意味なクローズアップや残酷描写やよくわからない芸術的カットがサブリミナルのように挟まれたり、シュールというか前衛映画みたいな印象。それとも斬新な映像を撮ろうとして失敗したのか。そもそも、主人公は騎兵隊を皆殺しした盗賊の一味の極悪人。自分たちを裏切った盗賊のボスを追いつめるのかと思ったら、そのボスは主人公と関係ないところであっさり死んじゃう。金に執着はないようだし、何のために行動してるのかよくわからない。っていうか、中途半端に
巻き込まれながらウロウロしてるだけみたいなw いくつもの勢力が金を狙うのとほぼ関係ないところに主人公はいるし。全編突っ込みどころ満載。ストーリーの流れとは関係ないのでネタバレ的にどんどん書いちゃうけど、「威力が大きいという黄金の銃弾はマイナスにしか役立たない」、「全身を撃たれて治療中に弾丸が金とわかってザクザク切り開かれて死んじゃうヤツ」、「荒野の用心棒の千倍ダサいキリスト復活」、「吸血コウモリ責め」、「美少年を弄ぶ黒シャツ隊」、「笛が吹き矢だった」、「妙に克明に描かれる頭皮剥ぎ」、「大量のダイナマイトをくくりつけた馬を特攻させる」、「溶けた金を頭からかぶって黄金人間」になるとかw なんか監督的にグッと来るアイディアをありったけ詰め込んだ消化不良のゴッタ煮感。狐につままれたような映画だった。残酷描写が売りのマカロニウエスタンだからって、ちょっとタガが外れたことやっちゃう監督もいるよね?って感じか。あ、黄金の弾丸は吸血鬼用の銀の弾丸? 70年代のホラーの先駆けって説もあるらしい。下のリンクを読むと多少は整理されるけど、面白くなかったのは変わらない。今まで観た中で最高に頭がおかしい映画だった。未見なら観る価値あると思うw
https://yojimbonoyoieiga.at.webry.info/201208/article_6.html

●怒りの荒野(1967年)
面白かった! 町の人たちに虐げられて育ったジュリアーノ・ジェンマが、ある日現れた悪党ガンマン、リー・ヴァン・クリーフに弟子入り。ある撃ち合いを機に町の人たちを見返す立場になるが。。。他のマカロニウエスタンでは、ジェンマはいかにも無理してニヒルなヒーローをやってたりしててイマイチだったけど、この映画では青二才な感じが活かされててめちゃくちゃ合う。顔役になってデカい態度取るようになってもイキった青二才のままで、ハラハラするw ガンマンの心得十ヶ条は中二病っぽくっていいねw 音楽もタイトルバックもイイ。

●暁の用心棒(1967年)
う〜〜〜〜ん。「情け無用のジャンゴ」よりさらに素性も行動原理もよくわからない主人公のガンマン。騎兵隊から金貨を奪うために一瞬手を組んだ盗賊たちを裏切って、金貨を持ち逃げしたガンマン。追われたり女が関わったりするんだけど、全部が全部まったく緊張感もサスペンスもなく、ゆるーい成り行き任せ。推進力が皆無な映画って感じ。肝心の銃撃戦もダラダラしてるし。

●殺しが静かにやって来る(1968年)
セルジオ・コルブッチ。マカロニウエスタンなのに、雪山や雪原など全部雪の中。明らかにタランティーノは「ヘイトフル・エイト 」でこれをやりたかったんだな。賞金稼ぎの描写とか、屋内の感じもモロに。おまけに音楽はエンニオ・モリコーネ。声を失ってる主人公なのでサイレンス。悪い判事によって不自然に賞金をかけられ、賞金稼ぎに狙われる町民たちを救おうとしたり、敵討ちを請け負うサイレンス。絵的にはほんとに素晴らしくちゃんと真面目に作った映画なんだけど、面白いかどうかというと、う〜ん。悪役のクラウス・キンスキーをはっきり主人公にしちゃえばよかったのに。とんでもないバッドエンドも悪役側からならスッキリする。主人公と悪役の描写の逆転はわざとなんだろうけどね。DVDの特典映像にはボツになった能天気なハッピーエンドも入ってたw これよりはバッドエンドのほうがいいや。テレビ放映の際はハッピーエンドバージョンが使われたこともあるらしい。

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