2018/12/31

最近観た映画メモ「ラ・ラ・ランド」他

ラ・ラ・ランド(2016年)
ハクソー・リッジ(2016年)
オール・ザット・ジャズ(1979年)
8 1/2(1963年)

●ラ・ラ・ランド(2016年)

話題になったミュージカル。普通におもしろかったけど、、、、これは、若い人限定の映画だなあ。夢や理想を追いかける二人のラブストーリー。あまりにわかりやすくしてあるというか、躊躇なくギャグ一歩手前みたいなベタな感動の仕掛けをどんどんぶっ込んでくるので、ちょっとシラけてしまう部分も。それにしても「約束を忘れる、すっぽかしてしまう」が多すぎじゃない? 「リアルな劇映画じゃなく、作り物の舞台上のミュージカルなんですよ!」っていう記号やそのための作り込みもちょっと過剰に思えた。「若い人向け本格ミュージカル映画入門」として作ってるんだろう。いちおう、「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ」で代表的ミュージカルをいくらか観てるので、いろんなミュージカルのいいところをかき集めて見せてるのはわかる。たとえば冒頭は「ロシュフォールの恋人たち」、「雨に唄えば」やフレッド・アステア、画面の色使いやラストは「シェルブールの雨傘」、書き割りに入っていく感じは「巴里のアメリカ人」などいくつか。他にもいろいろ引用っぽいものがあるんだろう。つい先日観た「バロン」とほぼ同じシチュエーション(ユマ・サーマンのヴィーナスとバロンが舞い上がって空中をくるくるダンス)があっておかしかったw あと、「The End」が出る映画って近頃珍しい?

●ハクソー・リッジ(2016年)
よくこんな映画作るなあ! すごかった。良心的兵役拒否というか「銃にぜったい触らない」信念に基づいて、衛生兵として戦友を一人で何十人も救った主人公の実話。強い! 彼こそ英雄! 「ザ・パシフィック」や「父親たちの星条旗」などでも描かれた、太平洋戦争後期のペリュリューや硫黄島とこの沖縄戦。玉砕せず
に最後まで戦う場合の日本兵の恐ろしさ。そりゃアメリカが戦後70年以上も占領状態を続けるほど警戒するのはよほど怖かったんだろうなあ。自決シーンは余分だったんじゃないか? あそこだけ完全に浮いてる。っていうか、「実話を元にした格調高い映画」に「安っぽい娯楽映画」がときどき混じる感はある。

●オール・ザット・ジャズ(1979年)
死期を宣告されたボブ・フォッシーが撮った自伝的映画。「ロイ・シェイダー主演のなんかすごい高評価な映画」以外ほとんど前知識なし。ちょっと前までは「ジャズの映画かな?」と思ってたくらい。All That Jazzってのは「なんでもアリ」の意の慣用句なのね。うまくいかない創作と、人生を振り返る現実と幻想が混じった走馬灯のような映画。こういった、映画やショー関係の男が創作に行き詰まって現実と幻想が混じる作品って、「8 1/2」や「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」もそうで、重くのしかかってくる。がんばりすぎの過労と不摂生。くたびれてヨレヨレのロイ・シェイダーがカッコイイ。何度も繰り返される、朝、ラジカセでビバルディをかけ、シャワーを浴び、たくさんの薬を飲んで目薬差して、「イッツ・ショータイム!」で気合いを入れる。習慣にしたくなるw 幻想に出てくるジェシカ・ラングの天使(死に神?)との会話がとても良い。この映画が元なものって多そう。冒頭のオーディションはソニービデオテープCMの「オーバーナイト・サクセス」とか思い出した。

●8 1/2(1963年)
ついでなのでこちらも見直した。大昔に名古屋で観たのは学生時代だから37年も前か! オールナイト名作映画5本マラソン上映会で観た。他4本は「郵便配達は二度ベルを鳴らす(旧作)」「去年マリエンバードで」「気狂いピエロ」「サテリコン」だったかな?。むずかしい上に眠くて眠くて、「8 1/2」もかすかにしか覚えてなかった。今回観ても、やっぱむずかしいといえばむずかしかった。けど、一見つながりがわかりにくいようで、散文的だけど「何がどうなってどうなるか」は確実に描かれてるのだった。幻想の「ハーレム」以降は怒濤のようにラストのお祭りに向かって流れ込む。このへんはさすがに今ならよくわかるw (「ビッグフィッシュ」とは意味がちがうけど、人生の走馬灯的な描写はグッと来るなあ。そういえば「ジャージー・ボーイズ」のラストも)

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