2018/10/21

最近観た映画メモ「天国と地獄」他

8月の狂詩曲(1991年)
まあだだよ(1993年)
夢(1990年)
羅生門(1950年)
天国と地獄(1963年)

●8月の狂詩曲(1991年)

黒澤明最後から2番目の作品。う〜〜んん、とってもイマイチ。子供たちとおばあちゃんの描写は良いと思うけど。なんちゅうか、いつものような念入りな絵コンテを描いて撮影に臨んだんだろうけど、絵のイメージに囚われすぎてる感。ラストなんか特に、絵を表現しようとするあまりにめちゃくちゃ不自然な演技になってる俳優たちがかわいそうw 「いい絵」を並べてもおもしろい映画にはならないというか。。。

●まあだだよ(1993年)
黒澤明最後の作品。おおぜいの教え子役の俳優たちが無理に雰囲気を盛り上げてる感はあるものの、こちらのほうが良かった。猫w あと、宴会とかの室内の極端な望遠撮影パースが無くなっててすごいw ラストの雲、いいなあ。雲が得意な背景画家の手によるものらしい。

●夢(1990年)
当時、オールナイトで観に行ったのだが、後半は居眠りがちだった。気がつくと天国のような水車村の風景と水流の水草のエンドクレジットだったw あらためて観てみると、「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」、特に「トンネル」までは
めちゃくちゃイイ! 究極の映像美で「トワイライトゾーン」をやってみた、って感じ。なのに。ゴッホの絵(本物じゃないっぽい)の中に入るのが見所らしい「鴉」はいいとしても、それ以降の3本「赤冨士」「鬼哭」「水車のある村」は老人の説教というか、主張が生のまま押しつけられて不快。「生き物の記録」や「8月の狂詩曲」もそうだったけど、放射能のことになると黒澤はバランスを失ってしまう感。とはいえ、福島の予言のようでかなり怖い。ところで「桃畑」の美しいシーンが望遠すぎてカメラが揺れ揺れなのは非常にもったいない。

●羅生門(1950年)
昔、テレビで冒頭だけ観てやめちゃったような記憶。複数人の証言をそれぞれ映像で見せるって、今となってはごく普通のミステリードラマでもやってる手法なんだろうけど、面白かった。三船敏郎の笑い声がクドいw しかしこの人カッコイイね。マカロニウエスタンにそのまま出ても違和感なさそう。「レッド・サン」には出てたけど。

●天国と地獄(1963年)
めちゃくちゃ面白かった〜〜! 最近観たなかでベストかも。古い映画特有の「わ〜、ちょっとヤダなあ」って部分がひとつもない。すごい俳優ばかり出てるし彼らが堂々としてて重厚感あるし、日本映画と思えないようなすごい端正で簡潔な描写。前半54分まで豪邸のリビングからほぼ出てないのがまずすごい! 列車のシーンの緊迫感! その後もラストまで全部良い! メリハリがイイ! 「誘拐犯を死刑にするために」の件は批判されてたようだけど、目的は「すでに実行された犯罪の証拠をつかむ」なわけで、確かに思いがけない失敗はあったけど、そこまで重大ではない気も。(この映画を真似した誘拐事件が頻発したそうで、その意味では徹底的に犯人をカッコ悪く描いたほうがいいんだろうけど、山崎努のアドリブが採用されて、ちゃんとカッコ悪くなってるしね。ジェームズ・キャグニーの映画みたいな)

ところで、特急こだま車内のシーンで客車の端の仲代達矢の上と、後部運転席入り口の右側に一瞬映る、蒲郡の「三谷温泉 ふきぬき別館」の広告ww 竹島の写真を使ってて、55年前は有名観光地だったんだなあ。

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