
日活プラスで、観たことなかった有名映画を急いで何本か見てしまう特集その7。2ヶ月間、ちょっとがんばって観てきたけどこれでラスト。見たかったもの全部を見れたわけじゃないけど、一旦解約する。U-NEXTにもあったりするし、しばらくしたらまた復活してもいいし。
っていうか、今年はドラマやアニメなどまとめて見てしまう年!とか言ってた割に完全に止まってる。そろそろ再開。
●伊豆の踊子(1963年) 1:27 日本 Amazon(日活プラス)
一人旅の学生、川崎。伊豆で旅芸人一座と道連れになる。まだ子供のような踊子のカオルは川崎を慕うようになり……という話。
監督:西河克己、出演:吉永小百合、高橋英樹、南田洋子、十朱幸代、宇野重吉、桂小金治、浜田光夫、郷鍈治、他。
うわ、びっくり! めちゃくちゃ良かった。吉永小百合、天真爛漫。その身上に囚われてる不憫。おそらく初恋の心の動きの描写。ラストなんかもうウルウル。旅芸人としての踊りもすごい魅せる。高橋英樹も観客の「乗り物」として、物語中に入ってしまえる感じ。よかったなあ。
宇野重吉演じる大学教授の川崎が、ダンサーと結婚するという学生の相談を受け、学生時代の踊子の思い出が蘇る、という趣向。「あゝひめゆりの塔」「幕末太陽伝」もだったけど、若い観客を物語の時代へタイムスリップさせる仕かけの作品が多いな。
・十朱幸代の悲しいエピソードは物語に影を落とす感じで良かったのだが、別の短編「温泉宿」から持ってきたらしい。郷鍈治のエピソードはちょっと唐突な気もする。入れるならもうちょっと詳しくやってくれても良かったのに。
・僕らの時代的には山口百恵三浦友和版「伊豆の踊り子」(1975年)だけど、監督は同じく西河克己。ちょっと見てみたくなった。
・ロケ地など大正末期な感じはよく出てた。一つ残念だったのは、飾り穴のブロック塀が何度か映る。いかにも昭和の高度成長期って感じのw
・予告編には本編に無いシーンがいくつも。
https://youtu.be/B-U7p3vdUI4?si=OI_0vgts_gZ1FK20
・郷鍈治が宍戸錠の弟とは知らんかった! 最近見た日活映画で何度も登場してて、いい顔だなあと思ってたら。
●太陽の季節(1956年3月)1:29 日本 Amazon(日活プラス)
原作:石原慎太郎、監督:古川卓巳、出演:長門裕之、南田洋子、岡田真澄、
ボクシングと仲間たちとの遊びに明け暮れる高校生の竜哉。街でナンパした英子と恋愛関係になるが、二人とものめり込みたくない刹那的でドライな性分。それがいつの間にか二人とも夢中に。しかし、付きまとう英子が次第にうざくなってきた竜哉は、兄に5千円で譲ってしまう。ところが……という話。
衝撃作というイメージだったけど、予想より普通だった。たぶん、戦後10年しかたってない当時にはかなり衝撃的な内容だったんだろう。のらりくらりの馬鹿者が、後半でリアルな現実に直面。意外にもそれを受け入れ、えらいな、と思ったら……悲劇、やはり馬鹿者だったか、、、という。
原作のほうはもっとすごいらしい。今まで見聞きした範囲で、あの身勝手な「契約」は、慎太郎の作品っぽいと感じた。
石原裕次郎。兄慎太郎の代わりに現場でアドバイスする係だったが結局画面にも登場し、これがデビュー作となった。長門裕之も悪くないけど、ときたまチラッと登場する裕次郎が光りすぎてて、そりゃもう天性のスターだなと納得する。慎太郎もチラッと出てる。
・湘南の金持ちの家庭。立派な邸宅。お手伝いさんとか普通にいたり。所有するヨット。当時の庶民の若者たちはあこがれただろうな。
・ハワイアンバンドのボーカルは石川進(オバQの歌で有名な歌手・俳優)では?→当たり!
・やはりフロアショーのシーンがあるw 今まで見た中ではこの映画が最古か。
・上野駅の猪熊弦一郎の壁画が映る。1951年に描かれたもの。まだ新しい。
●狂った果実(1956年7月) 1:26 日本 Amazon(日活プラス)
原作:石原慎太郎、監督:中平康、出演:石原裕次郎、津川雅彦、北原美恵、岡田真澄、他。音楽に武満徹が参加。
太陽族の仲間に入り浸る大学生の夏久と、純真な高校生の弟、春次。逗子駅で見かけた恵梨に恋をする春次。二人はつき合い始めるが、夏久は恵梨の秘密を知った上で我が物としてしまう。何も知らない春次は……という話。
面白かった! こちらはかなり衝撃的。一癖ある海千山千的イメージの津川雅彦、デビュー作では純真でデリケートそうな少年を演じてるのが意外だけど、終盤への前振りだったのか! あの変貌は「フルメタル・ジャケット」の微笑みデブの最期を思い出す。
あともちろん、裕次郎の危険な感じが全開。数ヶ月前の「太陽の季節」では脇役だったけど、この映画で主役デビュー。歌まで歌う。っていうか、こんなんで今まで素人だったはずがないよ、と思ったら、学生時代から俳優目指しててオーディションに落ちまくってたんだそう。プロデューサー水の江瀧子と兄慎太郎の引き合いでデビューとのことだけど、めちゃ光ってる。
リアプロジェクションのモーターボートやクルマのシーンで少し違和感があったりもするけど、似たような構図で現場で一発撮りしてるシーンもある。顔の表情を強調するためなんだろう。特に、「微笑みデブ」シーンや、タイトルバックにも使われてるモーターボートで彷徨う津川雅彦の表情など、音楽の使い方と合わせて、非常に効果的。ライティングも凝ってる。
・海のシーン、ここで空撮がほしい! でもこの時代じゃ無理だよね。と思ったらちゃんと空撮になる! (1952年に民間飛行が再開されて導入された読売新聞社のヘリを借りたんだそう)。あの、しつこいしつこいグルグルからの、、、、素晴らしい。
・今まで見た何本かに登場する岡田真澄が全部いい役w 細くてカッコイイよ。
・長門裕之と石原慎太郎がチラッと出てくる。自ら名乗る役名が洒落てるw
・やはり、戦後10年ほどとは思えない豊かな生活。湘南の金持ちの子弟ってこんななんだ。大豪邸にお手伝いさんに、ヨットにモーターボートにクラシックカーの自家用車でナイトクラブ。今だって普通にあこがれるわw
・ファッションがおしゃれ。白黒なのが残念なほど。特に、男の子のシャツがみんな斬新でカッコイイ。カラーで見たい!
・フランソワ・トリュフォーが絶賛、ヌーベルバーグの発生に影響を与えたという説もあるらしい。
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