2021/10/31

最近観た映画メモ「地獄の戦場」他

Amazonプライムビデオのリストにいつまでも残ってる古い戦争映画を一気に見てしまう特集。古いとはいえ、三本とも面白かったし「名作」って感じした。

●サハラ戦車隊(1943年)

監督 ゾルタン・コルダ、ハンフリー・ボガート。アフリカ戦線、ロンメル率いるドイツ軍に三方を包囲されて撤退中、本隊とはぐれてしまった一台の米軍M3中戦車。友軍への合流を目指す途中、生き残りの英軍部隊や捕虜などいろいろ拾って次第に大所帯での移動に。そして飲料水が底をつく……という話

驚くのが、第二次世界大戦の真っ最中の1943年11月公開で、しかも、アフリカ戦線終了直後。ほぼ「今現在の話」として作ってるのがすごい。撮影はコロラドの砂漠なんだけど。

ところで、捕虜のドイツ人とイタリア人の描写。ヒトラーやドイツ軍は人でなし、イタリア人やムッソリーニは人間的だからマシとしてるのが面白い(イタリアが降伏して連合軍入りした直後の公開だから?)。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07PDB4HQ1/ref=atv_wl_hom_c_unkc_1_31

●砂漠の鬼将軍(1951年)

監督、ヘンリー・ハサウェイ。主演、ジェームズ・メイスン。冒頭にアフリカ戦線の描写はちょっとあるものの、タイトルの印象のような戦争映画ではない。ロンメルがヒトラーのデタラメ横暴に耐えきれず、ヒトラー暗殺計画に加担、自決に追い込まれるまでを描く。

ロンメルについて、以前の「連合国側でさえ認める立派なドイツ軍将軍、おまけにヒトラーに反抗したり暗殺計画に加担した正義の人」のイメージそのまんま。これが、戦後たった6年の映画で、そんな手放しで賞賛してどうする?的な。ロンメルが本当に加担したかどうかは不明だそう。現在ではもうちょっとリアルな検証がされてるらしい。

短めだし、メリハリ効いてるし、メイスンはじめ、将校役俳優たちの演技はキビキビとかっこいいし、良かったです。タイトル前のロンメル暗殺作戦のドンパチ、なんかトーンに会わず唐突に付け足された印象だったけど、フリッパー作戦といって本当にあったらしい。

ヒトラー暗殺作戦については、トム・クルーズの「ワルキューレ」にも描写されてた。優柔不断で失敗するアレ。巻き込まれた人がかわいそうだ。

あと、原作はデズモンド・ヤングというイギリス軍の元将校が書いたロンメルの伝記なんだけど、映画の冒頭に出てくる、ロンメルに敬礼する捕虜の将校が本人!!

●地獄の戦場(1950年)

太平洋戦争、ある島へ上陸した米軍海兵隊。教師であった中隊長が長いこと率いている生き残り部隊。日本軍のロケット砲陣地の場所をつきとめるため、日本兵を捕虜に取る任務に出る。

監督、ルイス・マイルストン。リチャード・ウィドマーク、ジャック・パランス、ロバート・ワグナー。プライムビデオに1965年とあったけど画面も音楽も古すぎると思ったら、1950年の映画だった。

カラーの戦争映画としてはなかなかの出来なんじゃないか? 面白かった。まあ、南の島には見えなくて、どう見ても西部劇に出てくるアメリカの荒野。海兵隊の全面協力のもと、Camp Pendletonで撮影されたそうで、写真を検索するとたしかにこういう場所。年代から言って、朝鮮戦争の国威高揚映画なのかも。

日本兵の描写が意外。多少は手こずるものの、けっこうしっかり人間扱いしてる。捕虜の日本兵が何人も出てくるんだけど、それぞれちゃんと個性や教養までまでしっかり描かれているし、ある意味尊敬の対象になったりしてる。(たどたどしいけど)日本語もいっぱい話される。海兵隊の全面協力ということで、太平洋戦争経験者のリアルな日本兵のイメージなのかも。

原題の「The Halls of Montezuma」は冒頭でも流れる海兵隊賛歌のタイトル。別タイトルは「Okinawa」だそう。

ところで、日本陸軍にそんな大量に射てる強力なロケット砲なんてあったんだ?と検索したら、四式二〇糎噴進砲といって、太平洋戦争末期に連合軍を相当苦しめたらしい。

2021/10/28

Adobe MAX ロングバージョンの動画




昨日見つけられなかったロングバージョンの動画がありました!Adobe MAXトップの講演の録画の、講演が始まる前の部分に。14:10とかそのくらいから。
https://www.adobe.com/max.html
●追記、ライブ配信がされてて動画表示されてるときだけ、らしい。。。



あ、よかった。日本のAdobe MAXでも同じものが見れます。講演の動画が始まる前の部分です。
https://adobe.com/jp/max.html

BehanceのInstagramにAdobe MAXの動画(短いバージョン)


BehanceのInstagramに動画(短いバージョン)

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2021/10/27

Adobe MAX 2021が始まった。ビジュアル探しw


Adobe MAX 2021が始まった。

ところで、Adobeのサイト↓
https://www.adobe.com/

のあちこちに僕の「3D & AR」を含むアニメーションバージョンのビジュアルが使われてるらしい。「どこかにあるから自分で見つけてね」とのことだけど、見つけられない orz どこなんだ??

●追記。ありました!Adobe MAXトップの講演の録画の、講演が始まる前の部分にありました。14:10とかそのくらいから。
https://www.adobe.com/max.html

2021/10/24

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最近観た映画メモ「ソウルフル・ワールド」他

●ソウルフル・ワールド(2020年)

(多少のネタバレを含むので未見の人は注意)
ピクサー作品。監督 ピート・ドクター、 ケンプ・パワーズ。声の出演 ジェイミー・フォックス、ティナ・フェイ。とんでもなく濃いCG。キャラクターの何でもない一挙一動の表現にいちいち感動してしまうほど。

煮え切らないまま中年になった、ジャズピアニスト志望の中学の非常勤教師、ジョー。初めてすごいチャンスが舞い込んだ直後に事故で死んでしまう。成仏するのを嫌がって逃げ回った結果、「生まれる前のソウル(魂)たちの世界」に迷い込む。そこで「生きる目的が見つからず、生まれることを何千年も拒否してきた問題児のソウル、22番」と出会い、元の世界へ生き返る方法を探す過程で、自分を見つめ直すことになる。

「インサイド・ヘッド」と同じく、ぼんやり考えてたイメージを(多少図式的だけど)めちゃくちゃ具体的に提示され、自分に当てはめざるを得ない映画。特に、自分の人生の様々なシーンを彫刻みたいに展示され、「クソみたいな人生」と見せつけられるシーンはキツい! (後で回収されるが)。

ピクサーってそういうところスゴイ。今までの作品のテーマも、人生の節目など誰もが「自分の問題」として共感できる普遍的なもの。実写では「自分の問題」としての共感度はこれほどまで強まらないかも。

特定の宗教色が出ないよう配慮されてるのが、かえって強烈に宗教的になってるかも。嫌な感じはしなかった。「ゾーン」と「迷子のソウル」の説明には膝を打った。

トロンボーンの女の子を「好きだったら続けなよ」と応援する一方で、しまいには「人生のきらめき=才能、夢中になれるもの、生きる意味の追求」すら最重要事項から外してしまう! 必死にがんばってきたのにイマイチぱっとしない普通の人々にとって、これ以上ない「救い」かも。

猫w

ところで、「22番」というと、思い浮かぶのは……YMO「Nice Age」の途中のナレーション「22番は今日で一週間たってしまったんですけども、でももうそこにはいなくなって、彼は花のように姿を現します」(ポール・マッカートニーが収監されてたときの部屋番号だそう)。もちろんそれとは関係なく、映画にもなった「キャッチ=22」から生まれた慣用句(どうしようもない・逃れられないジレンマに陥っている状態)から来てるらしい。

●レニ(1993年)

レニ・リーフェンシュタールのドキュメンタリー。ダンサーから映画女優、映画監督へ。ナチ党大会の記録映画「意志の勝利」、ベルリンオリンピックの記録映画「オリンピア」で世界的高評価を得る。戦後、ナチ党のプロパガンダ映画の監督として糾弾され続ける。監督、レイ・ミュラー。ドイツ映画。

「怪物的才能を持った歴史上の人物が自ら語る」という意味で、めちゃくちゃ迫力がある。すごかった。

80年代の雑誌などの、石岡瑛子ディレクションのヌバ族の写真集やスキューバダイビング写真の記事。ナチの件では批判にさらされ続けるも、高齢なのにとんでもなくエネルギッシュな、陽に焼けた怖いおばあさんという印象だった。十数年年後のこのドキュメンタリーでは90歳に見えないほどかわいらしくてびっくりした。

ミュラー監督は、レニにナチ協力者として責任があると考えていてしばしば追求するが、レニは「私には責任はない。ナチ党員でもない。芸術家としてベストを尽くしただけ。あの当時に生きていたら他にどんな選択肢があったのか?」と反発・激昂する場面がいくつもある。

戦後、レニが批判をかわすために作ったウソが混じってるニュアンスは確かにある。「自分の芸術の実現のためには、他は些細なこと」という傲慢さはあるだろう。直接の責任はないとしても、特権的立場を享受してたわけだし。大戦後半は悪化する戦況をよそに、チロルの邸宅にこもって自分の作品の編集をしてたらしい。

激昂といえば、ミュラー監督の撮影上の演出「歩きながら話してください」という指示に、レニはブチ切れて「私はそんなことしない!」って拒否して怒りまくる。なのに、次のカットでは演出通りおとなしく歩きながら話してるのがオカシイw

2021/10/22

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最近観た映画メモ「100万年地球の旅 バンダーブック」他

「マンダロリアン」や「クローンウォーズ」をはさんだせいもあるけど、「なぜか観てなかった映画を観るシリーズ」としては、2ヶ月ぶり。今回の手塚治虫関連の3本は、たまたま冒頭を見始めてしまったものの、ラストまで見るのに大きな忍耐力を要した。

●千夜一夜物語(1969年)

手塚治虫の劇場アニメーション「アニメラマ」第一弾。ずっと頭の隅に引っかかってた。総指揮 手塚治虫、監督 山本暎一、キャラクターデザイン やなせたかし。声は青島幸男、岸田今日子など。音楽は冨田勲と、チャーリー・コーセイがボーカルのロックバンド(これがきっかけでルパン三世で歌うことに)。そこそこ大ヒットしたものの、製作費がかかりすぎてて赤字だったらしい。

当時の制作裏話など読むと非常に興味深いし、表現上の志が高いのはとてもよくわかるのだが、、、残念ながら、まったく面白くなかった。主に千夜一夜物語をモチーフにし、アラビアンナイトの大ざっぱなイメージから勝手気ままに作ったファンタジーか。

アニメーションというか画面自体も非常に粗く、今となっては見るに耐えないレベル。ミスがそのまま放置されてる箇所も多い。テレビ向けのリミテッドアニメーションそのまま。実写を取り入れたりしても、実験映画っぽい貧乏くさい味しか出ない。やなせたかしのストーリーボードがそのまま撮影されたりしてる。

「サイケデリック」&「子供向けアニメーションを作ってた人たちがいっしょうけんめい背伸びして考えた大人向けのエロ」って感じで、なんかものすごく嫌だw (「ふしぎなメルモ」などにつながる手塚メタモルフォーゼ全開) ただ、僕があの年齢層に感じる反発もあるかもしれない。それまでの「正統派の劇場用アニメーション」をぶっ壊すエネルギーは本来は心地よいかも。

主人公のアルディンはジャン=ポール・ベルモンドがモデルとのこと。同じくベルモンドをモデルにしてるといわれる寺沢武一のマンガの「コブラ」と瓜二つでもある。

●クレオパトラ(1970年)

手塚治虫の劇場アニメーション「アニメラマ」第二弾。キャラクターデザイン 小島功。監督 手塚治虫 山本暎一、音楽 冨田勲など、前回とだいたい同じ。声は中山千夏、ハナ肇など。

おそろしくつまらない。すべて腹立つオヤジギャグというか悪ふざけばかりで不愉快。雑で浅はかなパロディの羅列。やはり「千夜一夜物語」と同じく、30歳くらい上の世代のウザさの奔流。僕ら世代以外の人が見たらそれほどでもないのかもしれないけど。なにしろ「アッと驚くタメゴロー」が現役ギャグな時代の映画なので。冒頭の「2001年宇宙の旅」ばりの宇宙船映像にはびっくりしたけど、、、、。

劇場用アニメーションらしいクオリティが一箇所も無いどころか、テレビアニメにも届いてない。どういうつもりだったんだ? 

出﨑統が描いたっぽいキャラはわかる。あと、たぶん手塚治虫の描いた原画ほぼそのままの止め絵がクオリティ高いw

第三弾の「哀しみのベラドンナ」は手塚治虫は虫プロを辞めた後の作品で、無関係だそう、とりあえずパス。

●100万年地球の旅 バンダーブック(1978年)

総監督 手塚治虫、キャラクターデザイン 坂口尚。音楽 大野雄二。日テレ「24時間テレビ」のアニメスペシャル第一弾。第一回の「24時間テレビ」は初めてのこういう番組ってことでがんばって大半を見たはずだけど、アニメスペシャルを見た記憶がない。第二弾の「海底超特急マリンエクスプレス」は見た。8〜9年前のアニメラマの2本にくらべれば、クオリティが明らかに向上。と思ったら、後半は失速。

・「スター・ウォーズ」公開直後という時期。宇宙SFブームのいろんな「これを入れとかなきゃ」要素が満載だけど、表現が追いついてない。

・こちらもメタモルフォーゼ要員のキャラがおり、けっこうかわいい。

・大野雄二の音楽がものすごく時代を感じさせる(というか、昭和感)。アニメラマでの冨田勲の音楽と同様、音楽は時代のものなんだなあ。

・あまりにひねりのないエコロジー志向と人類批評みたいなパートが挟まれてる。こういうのを喜ぶ人たちのための、「金が儲かるからヒューマニズムのフリをしてるんだ」の一環だろう。

・昔から薄々感じてたんだけど、、、なんちゅうか、手塚治虫的にアニメーションというものは、企画が通って実際に劇場公開/テレビ放映されることが決まってしまえば、内容や評価にはそれほどこだわりがないのかもしれん。と思った。

……っていうか、今となっては、24時間テレビ向け2時間アニメを作ってる舞台裏というか制作現場が想像を絶する修羅場だった件が有名になりすぎて、そのアニメそのものは実際どうだったんだ?という興味も大きい。「オンエアが始まってるのに手塚治虫はまだコンテを書いてた(実際はもちろん違う)」伝説とか。いろんな作業が間に合わず、完成してないシーンを間に合わせのツギハギでごまかしたりなど、不完全な形で放映されたらしい。その後、地方での放映用に手を加え編集しなおしたのが今見られるもの。とはいえ、明らかにミスだらけだし、セルがめちゃくちゃ汚れてるのがそのまま撮影されてたりする。笑っちゃったのが、44分30秒あたりに登場するハムエッグのヒゲ、次のカットで顔がアップになると消えるw


アニメラマの監督、山本暎一氏は、先月亡くなったそう。最近、『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』って本を読んだんだけど、山本氏が登場する。西崎同様、虫プロ出身者として「ヤマト」に企画段階から関わっていたので。

「アニメラマ三部作」を研究しよう!
山本暎一インタビュー 第1回[再掲] 
http://www.style.fm/as/13_special/mini_060116.shtml
http://www.style.fm/as/13_special/mini_060119.shtml

アニメラマは、6年生くらいとき水曜ロードショーで予告やってたけど見なかった。大人向けな感じがしたし。やなせたかしといえば大人向けのマンガで知られてたそうだけど、僕的には「やさしいライオン」。アニメーション版は「千夜一夜物語」に参加してくれたお礼として手塚治虫が虫プロのスタッフ好きに使っていいから何でも作ってと言われて作ったそう。深井国といえばSFマガジンだったかの挿画で知ってすごい上手い!おしゃれ!って、後で「ベラドンナ」のあの絵と気がついておお!となった。